★骨髄バンクについて

Q1 骨髄バンクはどんな制度ですか?

骨髄バンク事業は、厚生労働省の主導で、(財)骨髄移植推進財団が主体となり、日本赤十字社と都道府県、政令市、特別区の協力により行われている公的事業です。かっては不治の病であった白血病など血液難病の患者さんに、健康な骨髄液を移植することによって、多くの命を救うことができるようになりました。多くの善意の人を募り、白血球の型が適合した骨髄液の提供者の方と骨髄移植を希望する患者さんとの橋渡しをすることが骨髄バンクの役割です。


Q2 骨髄液の移植で、なぜ白血病などの患者さんの命を救えるのでしょうか?

骨髄液には、赤血球、白血球、血小板といった血液成分のもとになる骨髄幹細胞が含まれています。健康な骨髄幹細胞を患者さんの病気におかされた骨髄幹細胞と換えることにより、正常な血液を造る機能を回復することができるからです。


Q3 なぜ骨髄移植をするのか?

骨髄移植が必要となる病気では、当然ながら骨髄の働きがおかしくなっています。骨髄が悪くなり、正常な血液を作り出せないのです。つまり、ある未熟な血球が過剰に作り出されたり(白血病)、血球数が低くなったり(再生不良性貧血)するわけです。こうした不良な骨髄を、正常な骨髄と入れ返る部品交換のように考えてください。その交換作業が<骨髄移植>であると考えれば分かりやすいでしょう。


Q4 骨髄移植をして治る病気はどのようなものがあるのでしょうか?

血液のがんと言われる「白血病」と、血液を作り出すことでできなくなる「再生不良性貧血」が、骨髄移植で治る代表的な病気です。他には先天性の免疫不全症候群、代謝異常症(小児の病気)があります。また、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの病気の治療法として骨髄移植が選択されることもあります。


Q5 骨髄移植をしたらなぜ病気が治るのでしょう?

急性白血病の場合、まず抗がん剤による治療を行います。そこで70〜80%の患者さんは、"寛解"と呼ばれる一見正常の状態となります。しかし、白血病細胞がすべて殺されたわけでないため、半数以上の方が再発をしてしまします。骨髄移植は、全身に放射線と大量の抗がん剤を使って、残っている白血病細胞を消滅させて、破壊された患者さんの骨髄を、健康なドナー骨髄で置き換える治療法です。新たに造られた血液細胞(リンパ球)が、患者さんの体内にわずかに残った白血病細胞をみつけて攻撃すると考えられています。そのため移植後の白血病の再発が少なくなると言われています。


Q6 骨髄移植をすればすべての患者さんが助かるのでしょうか?

残念ながらすべての患者さんが助かるわけではありません。骨髄移植は実はリスクの高い治療です。「GVHD(移植片対宿主病)」といわれる骨髄移植特有の免疫反応により、肝臓、胃腸、皮膚などの障害を受けたり、細菌などに弱くなり肺炎にかかったり、あるいは移植前の抗がん剤などの副作用により肝臓や腎臓の障害を受けて、移植を受けたにもかかわらず10〜20%の患者さんが死亡されます。また、移植後に白血病などのもとの病気が再発してしまうこともあります。全体として長期的に生存できるかたは、全移植患者さんのうち50〜60%となっています。もちろん移植をしなければほとんどの方は助かる見込みはない患者さんであります。つまり、骨髄移植は助かる見込みのない病気に対して残された唯一の治療法と言えます。


Q7 患者さんは骨髄移植で助かるのでしょうか?

白血病など血液難病は、まず抗がん剤などによる治療(化学療法)が行われます。しかし、薬の治療では治癒が難しい場合、移植が選択されます。病気の種類や患者さんの年齢、移植の時期によって成績は異なり、100%助かるわけではありません。しかし、移植を待っている患者さんにとっては、骨髄バンクやドナーの存在が生きる希望となっています。


Q8 骨を削ったり切り取ったりするのですか?

骨髄移植というと骨を削ったり切り取ったりして移植するイメージがあるかも知れませんが、そうではありません。腰の骨(腸骨)から注射器で骨髄液を抜き取るのが骨髄採取です。原則として全身麻酔下で行われますので採取時の痛みはありません。


Q9 骨髄移植はどのように行われるのでしょうか?

骨髄移植というと、太い神経が走っている脊髄を移植すると勘違いしている方がいますが、実際は骨の中にある骨髄液を移植するものです。健康な骨髄液を提供してくれる方を骨髄ドナーといいます。骨髄液は、採取しやすい腸骨と呼ばれる骨盤を形成する大きな腰骨から注射器で採取します。骨髄ドナーの方の体重によって個人差はありますが、数百ミリリットル〜1リットルほどの骨髄液を採取します。そして、採取した骨髄液を患者さんに直接点滴して、患者さんの病気におかされた骨髄幹細胞を健康なものに置き換えます。ただし、骨髄ドナーは20歳から55歳の健康な成人に限られています。


Q10 骨髄移植はどのように行うのですか?

患者さんの病気に侵された骨髄を、"前処置"と呼ばれる大量の抗がん剤と全身への放射線をかけることにより空の状態にして、ドナーの骨髄を輸血と同じ方法で静脈内に点滴で輸注します。輸注する骨髄液は、患者体重kg当たり15mlとなります。50kgの方には750mlの骨髄液が輸血されます。血液型(ABO型)には関係なく骨髄移植が可能です。入れた骨髄の細胞は自分の行くべき場所である骨髄をちゃんと見つけて定着します。


Q11 骨髄の移植の方法は?

まず、提供者から骨髄液を抜き出します。それを患者に輸血のような方法で注ぎ込みます。
骨髄は、腸骨(ちょうこつ)という骨盤の一部から注射器で採取されます。提供者は全身麻酔を受け、手術室でうつ伏せになります。この状態から骨盤の背中側、ベルトの位置より少し下の腸骨に、専用の針を左右数カ所刺して吸引します。採取する量は患者の体重に応じて変わりますが、通常500〜1,000mlの範囲です。所要時間は1〜3時間。抜き取った骨髄は、1ヵ月程度で回復します。
このようにして抜き取られた骨髄は機械によって移植用の処理を受け、患者の身体に点滴注射のような要領で注入されます。
骨髄は血液に似た液状の成分で、経静脈的に輸注されます。循環血液中に入れば、生理的な機構が働きます。患者の不良(病的)な骨髄に代わり、骨髄腔内に自然に移植骨髄が生着します。骨髄移植に関しては、ドナーと違い患者は一切の痛みを感じません。


Q12 骨髄移植は手術なの?

近年の骨髄移植では、メスが用いられることはまずありません。皮膚や肉を切り裂いて行われるような、「手術」「オペ」と聞いて一般人が漠然とイメージするそれとはかなりの隔たりがあると考えていいでしょう。実際、提供者が全身麻酔をかけられて眠ること、採取が手術室で行われることの2点を除けば、骨髄移植はどちらかというと輸血に近い作業なのかもしれません。
とくに患者側からすれば、届けられた骨髄液のパックをまさしく輸血の要領で注入するのみ。この点に着目すれば、医学的な定義からしても手術とは言いにくいと思われます。
ただ、提供者の体内から骨髄液を採取する作業は、医学的な見地から手術と定義されます。
骨髄バンクは、メスを使って体を切り刻むような誤ったイメージが定着するのを恐れ、なるべく「手術」という表現を用いるのを避けたがる傾向にあります。しかし、骨髄液の採取に関してのみ厳密にいえば、これは立派な手術になってしまうのです。


Q13 骨髄の移植は簡単にできるのでしょうか?

簡単な治療とはいえません。患者さんは、骨髄移植の前に1〜2週間かけて、全身への放射線照射などで、自分の骨髄幹細胞を完全に破壊したうえで移植を行い、移植した骨髄が働き始め正常な血液成分を造るまでの間は無菌病室で療養する必要があります。


Q14 骨髄移植が必要な病気(患者)とは?

1.白血病
2.重度の再生不良性貧血
3.リンパ腫(ホジキン病など)
4.多発性骨髄腫
5.免疫不全症
―以上のような病気の患者が骨髄移植を必要とします。ただし他の治療で治る場合もあり、これらの病気だから必ず移植が必要になるわけではありません。


Q15 骨髄移植を希望している患者さんは年間何人?

約1,500人です。
骨髄移植が有効な治療法になる病気は、白血病、再生不良性貧血、先天性免疫不全症、一部の先天性代謝異常疾患などです。白血病を例にあげると、日本では年間6,000人以上も発症しています。白血病というと「不治の病」というイメージも強いですが、実際には化学療法という抗がん剤による治療のみで治る患者さんも多くなりました。

骨髄移植は化学療法では治る見込みのないような患者さんたちに行われる治療法です。移植の前の処置として、致死量を超える抗がん剤や放射線照射を用いるため、高齢の患者さんには適していません。ですから、原則として50歳以下の患者さんが対象となり、年間約2,000人が、骨髄移植などの造血幹細胞移植を必要としています。このうち約4分の1の方には兄弟姉妹などの血縁者に適合ドナーが見つかります。残り約1,500人が骨髄バンクによる非血縁者間骨髄移植を希望しているのが現状です。


Q16 他のバンクとは何が違うのですか?

骨髄バンクに関することについてですが、骨髄液は冷凍保存するものではないので登録する時に骨髄は採取しません。(登録時には血液検査で白血球の型(HLA)を調べHLAが一致した患者さんが移植を希望した際に採取することになります)また、他のアイバンクや腎バンクなどと違って死後に提供するものではありません。


Q17 臍帯血(バンク)とは何ですか?

親と胎児を結ぶ臍帯と、胎盤の中に含まれる血液を臍帯血といいます。臍帯血は通常の出産の場合、出産後は不要となりますが、血液細胞を作り出すもとである「造血幹細胞」がたくさん含まれているので、これを患者さんに移植することによって、骨髄移植と同様の効果を得ることが出来ます。移植成績については調査中です。
さい帯血バンクのホームページ


Q18 最近臍帯(さいたい)血バンクを介した移植もあると聞きますが、骨髄バンクとはどう違うのですか?

赤ちゃん出産時の"へその緒"のついた胎盤に含まれる血液には、たくさんの造血幹細胞(血液のもとになる細胞)があります。この血液を一旦冷凍保存して、骨髄移植と同じように患者さんに戻して、白血病など血液の病気の治療に役立てるのが臍帯血移植です。
ドナーの負担がなく、コーディネートに要する時間が短いため、骨髄バンクでドナーが見つからず、移植を急ぐ患者さんに対して、最近、移植例が増えています。しかし、長期的な移植成績に関して、まだ不明な点があります。また、さい帯血バンクは公的なバンクではなく、日本さい帯血バンクネットワークとして、全国11のさい帯血バンクをつないで移植可能なさい帯血の検索を可能としています。現時点でのさい帯血バンクの位置づけは、骨髄バンクでドナーがみつけられない患者さんが、第3の移植ドナーを検索するものということになっています。


Q19 さい帯血バンクが出来て骨髄ドナーは要らなくなるの?

これからも骨髄バンクは必要です。
骨髄移植、さい帯血移植はそれぞれ長所短所があり、患者さんに合わせて行っています。残念ながらまだどちらも絶対数が足らず、多くの患者さんが移植を希望されて要るにも関わらず、移植できないでいる患者さんがたくさんいます。今後もドナー登録にご協力をお願いします。


Q20 なぜ、骨髄移植から さい帯血移植へと全面的に切り替えないのですか?

臍(さい)帯血とは、日本さい帯血バンクネットワークから引用しますと、出産の時、赤ちゃんのへその緒とお母さんの胎盤にある血液で、骨髄移植と同じように患者さんに移植して病気を治すことができます。さい帯血の提供は出産時に行われ、赤ちゃんにもお母さんにもまったく痛みがなく、短時間で終わるのが特徴です。
他にも動員末梢血移植などありますが、移植はどれも一長一短です。さい帯血では、採取できる量が骨髄移植と比べると少ないため、全ての骨髄移植をさい帯血移植で代用することは出来ません。
一番大切なことは、数ある移植方法の中から、患者さん個人個人にとって最良のものを選ぶことができる環境です。そして骨髄移植は、現在も有効な治療法の一つですから、希望する患者さんが確実に移植できるように環境を整える必要があります。


Q21 死後に提供するのですか?

骨髄移植は生体間移植です。骨髄液の提供は、健康な人が患者さんのために自分の命の一部を分けてあげるもので、採取された分量の骨髄液は3週間ぐらいで元通りに回復します。この意味で、骨髄提供は死後に臓器を提供するアイバンクや腎バンクとは大きく異なり、献血の一種と考えて差し支えありません。


Q22 骨髄液を冷凍保存しておくバンクですか?

骨髄バンクは、自分とHLAの型の一致した患者が見つかったときに骨髄液のドナーになってもよいという意志と情報を登録しておくバンクで、骨髄液そのものをあらかじめ採取して保存しておくバンクではありません。従って、登録時に必要とされるのは献血の場合と同様の血液検査だけです。


Q23 骨髄は血液のように冷凍保存できないのでしょうか?

不可能ではありませんが、冷凍すると骨髄の細胞の生存率が低下するため、採取した直後に移植するのが効果的と考えられています。したがって骨髄バンクでは、採取した骨髄液を24時間以内に患者さんに移植することとしています。


Q24 過去に死亡事例はありますか?

日本骨髄バンク(非血縁者間)では、死亡事例は発生しておりませんが、過去に家族のための骨髄採取(血縁者間)にともないイタリアで2件、日本では、麻酔事故によるドナーの死亡事例が、1件報告されています。
健康なドナーであっても通常の手術と同様に、麻酔中に緊急の処置を行う必要がある可能性はわずかにあります。骨髄バンクの採取病院ではドナーの安全確保のために、厳重な管理下で骨髄採取が行なわれています。


Q25 死亡事例について教えてください。

これまで世界で6万件以上の骨髄採取が行われていますが、重大な事故はきわめてまれです。日本の骨髄バンクを介しての骨髄採取では、死亡事例は発生していません。しかし、過去に海外で3件(血縁者間2例、非血縁者間1例)、日本で1件(血縁者間)のドナーの死亡事例が報告されています。健康なドナーの方であっても通常の手術と同様に、麻酔中に緊急の処置を行う必要が起こる可能性がわずかにあります。そのため採取病院では、ドナーの安全を確保するため最大限の注意をはらい万全の態勢で骨髄採取が行われています。

過去の死亡事例について:
骨髄移植推進財団のQ&Aから引用しますと、「日本の骨髄バンクを介しての骨髄採取では、死亡事例は発生していません。しかし、過去に海外で3件(血縁者間2例、非血縁者間1例)、日本で1件(血縁者間)のドナーの死亡事例が報告されています。健康なドナーであっても通常の手術と同様に、麻酔中に緊急の処置を行う必要が起こる可能性がわずかにあります。そのため採取病院では、ドナーの安全を確保するため最大限の注意をはらい、万全の態勢で骨髄採取が行われています。」

これから何年も無事故が続いたとしても、過去の事例が消えることはありません。
しかし、引用した財団のQ&Aにも書いているように、財団の方としても最大限の安全策を講じている、ということは言えると思います。


★骨髄について

Q26 骨髄とは何?

骨の中にある血液の細胞を作る組織です。
私たちの命を維持する上で欠かせないのが血液です。血液のおもな細胞には赤血球、白血球、血小板などがありますが、これらの細胞は骨の中にある「骨髄」という場所で造られています。骨はちょうど竹のような構造をしていて、硬い皮質という部分に囲まれている中空部分を「骨髄」と呼んでいます。骨髄はゼリー状になっていて、その中に赤血球や白血球などを作る造血幹細胞という細胞が含まれているのです。

骨髄移植の対象となる白血病や再生不良性貧血、先天性免疫不全症などの病気は、この「骨髄」が正常に働かなくなってしまう病気です。抗癌剤などの薬による治療でも病状が良くならない場合、健康な人の「骨髄」を移植することによってその病気を治す可能性がでてきます。
骨髄採取は、おもに腸骨という骨盤の一部から行われます。丁度ズボンのベルトがあたる部分の骨です。皮膚の上から専用の針をさして、注射器で骨髄を吸い取っていきます。この骨髄造血幹細胞を患者さんに移植すると、ドナーの方の血液細胞が増殖をして生命の維持に必要な赤血球、白血球、血小板などが造られるのです。


Q27 骨髄とは?

骨の髄(ずい)です。人間の身体の中にある骨というのは、詳しく見るとチクワやストローのように中心部が空洞になっています。この空洞部にあるゼリー状の物質が<骨髄>です。主に血を造るという重要な働きがあります。読みは、「こつずい」です。よく脊髄(せきずい)と混同してしまう方がいますが、全くの別物です。また、血液と同じように少なくなると自動的に生成されます。このため、骨髄移植で骨髄を他人に提供しても、しばらくすれば自然と元の状態に戻ります。


Q28 骨髄って脊髄のことですか?

骨髄は骨の内部にあるゼリー状の組織で、血液に似た赤い液体(骨髄液)で満たされています。この液体中には血液の成分のもとになる骨髄幹細胞が含まれているのです。従って、脊髄とは全く別のもので、骨髄移植では脊髄に針を刺したりメスを入れたりはしません。


Q29 骨髄(こつずい)と脊髄(せきずい)はどう違うのですか?

骨髄は骨の中心部にある造血組織で、血液(白血球、赤血球、血小板)はここで造られ、血管を通じて全身を巡ります。骨髄にある骨髄液(正確には造血幹細胞)を健康なドナーのものと入れ替えるのが骨髄移植です。脊髄は、脳から延びて背骨(脊椎管)の中を通っている中枢神経のことをいいます。骨髄移植とはまったく関係ありません。


Q30 骨髄採取が脊髄を傷つける恐れは?

ありません。あり得ないといえるでしょう。
骨髄と脊髄は全く別物で、骨髄(液)を注射器で抜き出すときにも脊髄には一切触れません。そもそも場所が違います。骨髄採取を腰椎穿刺と混同してしまったときに起こる誤った認識ではないでしょうか。


Q31 骨髄採取は脊髄を傷つけるのでは?

採取で脊髄が傷つくことはありえません。
 「骨髄液」は腰のあたりから注射で採取するので、よく腰椎穿刺という検査と混同なさっている方がいますが、腰椎穿刺は、髄膜炎などの病気の診断で行われる検査。骨髄採取とは全く違うものです。骨盤と脊椎をつなげる腰椎では背骨の後ろ側を骨に囲まれるようにして「脊髄」が走っているので、この検査(腰椎穿刺)では「脊髄」を傷つけてしまう可能性はあります。それでも下半身不随のような深刻な障害は、きわめて稀なケースでしょう。

「骨髄」は腰や胸の骨の内部にある血液をつくる組織、「脊髄」は背骨の後ろ側を走る神経組織で、2つは別物です。骨髄移植に必要な「骨髄液」は、背骨ではなく骨盤の骨から採取するので、「脊髄」を傷つける可能性は絶対にないんですよ。まして採取がもとで下半身不随になるなんてことはありません。


Q32 骨髄採取で身長が低くなるの?背骨を取ったの?

背骨を取ったり、背骨からは採取しません。
骨髄を脊髄と勘違いされる方もおられました。実際には、腰の腸骨から注射器で骨髄液を採取するものです。従って脊髄に傷を付ける事はありません。


Q33 骨髄液はどの部分から採取するの?

腸骨からです。
成人の骨の中で最も安全に、最も多くの骨髄を採取できるのは「腸骨」という骨盤の一部を構成する骨です。腰のベルトがあたる骨ですからすぐお分かりになるかと思います。
採取では、ドナーの方にうつ伏せの状態で寝ていただき、背中側から注射器を使って採取します。採取に用いる針は骨髄採取専用のもので、ドナーの体格に合わせたサイズを選択します。皮膚を通して腸骨に垂直に針を刺し、1カ所から数〜10ml程度ずつ注射器で吸い取っていきます。皮膚は前後左右に少し動くので、同じ皮膚の穴を使って数カ所の骨に刺すことができます。このような穿刺を繰り返し、合計500〜1,000ml程度の骨髄を採取します。ですから皮膚には通常、左右それぞれ数個程度の痕しか残りませんが、骨には数ヶ所の小さな針孔があくことになります。またその注射痕も、3〜6ヶ月後には消えてしまいます。また骨にあいた小さな穴も骨は再生力が高いので数ヶ月で塞がります。


Q34 骨髄はどこから採取するのですか?

骨髄は、骨盤を形成する大きな腰の骨(腸骨といいます)から注射器で採取されます。手術室でうつ伏せになった状態で、骨盤の背中側、ウエストの位置より少し下の腸骨に、専用の針を左右数十カ所刺して吸引します。皮膚の採取跡は通常、左右数カ所です。採取する量は通常500〜1,000ml(患者さんの体重に応じて採取量が決まります)で、所要時間は1〜3時間です。


Q35 人間の体には、どれくらいの骨髄液があるのですか?

体内にある骨髄液は、血液の中に幹細胞として混ざっている状態で存在します。ドナーから骨髄液として採取しているものは、「骨髄を循環している血液」を含んでおり、その量は血液の量の20%強を占めています。


Q36 どのくらいの骨髄液を採るのですか?

患者さんの体重によって異なり、小児なら200〜300mlですむこともあれば、大人の患者さんの場合は 1,000mlを越えることもあります。骨髄採取量は、ドナーの体重ごとに基準が設けられており、全身の骨髄幹細胞の5%以下となっています。なお、骨髄幹細胞は自己複製能力をもっており、通常、骨髄は採取後1カ月ほどで元の常態に戻ります。その間でも日常生活に支障がありません。


Q37 どのくらい骨髄を採りますか?また、骨髄は元にもどりますか?

ドナーの健康上、何パーセントの骨髄が採取されるかということよりも、どのくらいの血液量が失われるか(出血量)が重要になります。採取する骨髄の量(出血量)は、適合した患者さんの体重によって異なります。小児の場合200mlで済むこともありますし、大人では1,000mlを超えることもありますが、ドナーの体重に応じて、安全な範囲が定められています。健常成人では、骨髄で赤血球が2,000億個、白血球と血小板は日々1,000億個生産されており、出血(骨髄採取≒出血)した場合などはその生産量が調整されて増加します。骨髄は採取後1カ月ほどで元の状態に戻りますし、その間、日常生活に支障はありません。


Q38 HLA型ってなに?

白血球の型のことです。
ヒトの赤血球にはA型、B型などの血液型がありますが、白血球にも型があり、HLA(ヒト白血球抗原)と呼ばれています。
HLAはA、B、C、DR、DQ、DPなど多くの抗原の組み合わせで構成され、なかでも骨髄移植で重要と考えられているのはA、B、DRの3つです。さらにA、B、DRとも10〜数十種類の違ったタイプがあり、個人はそれぞれ2個ずつ、合計6個の抗原を持っているのです。つまりA〈A24とA11〉、B〈B52とB62〉、DR〈DR2とDR4〉……などという具合で、それぞれの組み合わせは両親からの遺伝で決まってくるものです。この組み合わせの種類をすべて割り出そうとすると、天文学的な数字になってしまいます。

兄弟姉妹の間では4分の1の確率でHLAが一致しますが、少子化で兄弟姉妹が少なくなっている現在は、血縁者からドナーを探すことも難しくなっています。非血縁者間でHLAが一致する確率は数百人〜数万人に1人と低くなってしまうため、数十万人のドナーの登録が必要になるわけです。


Q39 HLAとは?

白血球上にある物質で、人それぞれ様々な型のHLAを持っています。要するに、白血球の血液型と考えれば良いでしょう。ただ、私たちが良く知る赤血球の「A」「B」「O」「AB」型といった単純なものではなく、もっと高度に複雑に分類されるものです。骨髄移植を実際に成功させるには、ドナーと患者のHLAが一致している必要があります。


Q40 なぜ自分のHLA型を教えてもらえないのでしょうか?

骨髄バンク事業の公正な運営を確保するために、お教えしないこととなっています。
HLA型は、移植医療の現場において大変重要な情報です。これが一般的に公開されると臓器売買等が行われる心配や、骨髄バンクを含め公平な臓器提供の機構そのものが危うくなる可能性があるため、そうしたことを未然に防ぐ必要があることから、第三者はもちろんドナー登録者本人にも伝えないこととしています。ドナーのHLA型データは、患者さんとの適合検索のためと、個人情報を遮断したうえでデータ解析のために利用しており、それ以外に利用されることは絶対にありません。
平成17年4月施行の「個人情報の保護に関する法律」では、個人情報取扱事業者は個人データの開示請求が本人からあったとき、「開示しなければならない」と決められています。ただし、下記のケースに該当する場合は、「開示しないことができる」との定めがあり、ドナー登録者のHLA型データにかかわる個人情報取扱事業者(ここでは、骨髄移植財団と日本赤十字社)は、この規定(法第25条)に準拠した扱いをしています。
1)本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
2)当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合


Q41 DNAタイピングとは何ですか?

HLAの遺伝子配列を調べる検査方法で、HLA型の精密な適合性を確認します。欧米ではすでに実施され、検査の精度アップと時間短縮に大きな成果を上げています。


Q42 DNA(遺伝子)タイピングとは何ですか?

遺伝子配列を調べる検査方法で、HLA(白血球の型)の精密な型を確定でき、患者さんとの適合性を確認します。移植成績の向上に大きな成果を挙げています。


★登録について

Q43 ドナー登録に体重制限があるのはなぜ?

骨髄を採取するとき、全身麻酔をかける必要があるからです。一定の体重以下の人や、過度の肥満を抱えている人は、麻酔が効きにくかったり、逆に覚めにくかったりする場合があるので、ドナー登録できません。痩せるか太って、適正な体重にしてから再チャレンジしてください。ドナー候補者になる段階で、男性の場合45kg未満、女性で40kg未満の方はドナーになれません。


Q44 ドナー登録に体重制限があるのはなぜですか?

骨髄の採取は全身麻酔下において行われますが、一定の体重以下の方や、過度の肥満の方は、骨髄採取と麻酔に伴う副作用・合併症の程度が高まる傾向があり、また麻酔が効きにくかったり、逆に覚めにくかったりする場合があるため、ドナー登録をご遠慮いただいています。ドナー候補者になる段階で、男性で45kg未満、女性で40kg未満の方、そしてBMIが30以上の肥満の方は、骨髄提供ができません。BMIとは、[体重kg÷身長m÷身長m]で導き出されます。例えば、身長170cmで体重80kgの方は[80÷1.7÷1.7=27.68]となり、提供は可能です。


Q45 登録や提供時の休業補償はありますか?

あくまでも善意に基づく骨髄提供ですので、登録や提供の際に仕事を休まれても補償はありません。なお、官公庁や一部の企業などで「骨髄ドナー特別休暇制度」を導入しているところもありますので、ご希望の方には「ドナー休暇証明書」を発行いたします。


Q46 妊娠中や出産後にドナー登録はできますか?

妊娠中であってもドナー登録はできますが、ドナー(妊婦さん)と胎児の安全の見地から、骨髄提供はできません。なお、骨髄提供は、出産後1年を経過すれば可能です。


Q47 ピアスを開けた直後だが、登録できるか?

ピアスの穴を開けたばかりの人でも、骨髄バンクへのドナー登録そのものは可能です。しかし、骨髄提供はすぐにできないこともあります。ピアスを開けた人が献血を断られるのと同じ理由で、血液を介してのウイルス感染が問題になるからです。
判断の基準は、ピアスを開けるときに使った道具と、その方法です。最も大切なのは、ピアッサー(ディスポーザブル器具)等を他人と共用しないこと。もし、ピアスを開けるときに使う道具を他人と一緒に使っていたりすると、1年間は、献血も骨髄提供もできません。器具の共有がなくクリーンに行われている場合は、1カ月間様子を見て炎症がでなければ、献血や骨髄提供をすることが出来る場合もあります。


Q48 献血したことが無い。献血できない。風邪を引いている。 と登録できないの?

ドナー登録の適否は登録会等で最終的には医師が判断しています。
赤十字血液センターとは協力関係にありますが、必ずしもドナー登録の条件と献血の条件とは同じではありません。また、一口に健康と言っても千差万別です。詳しい事は登録時に質問してください。


Q49 登録後は薬を服用してはいけないの? 特別な生活が必要?

特に制限はありません。
実際に健康状態が重要になるのは最終同意後と思って良いと思います。特に、患者さんが現れるまでは普通の生活で何ら問題はありません。最終同意後の体調の変化についてはコーディネーターや担当医に遠慮せずに相談してください。健康状態を維持する事は難しいことです。


Q50 もっと骨髄バンクについて知りたいので資料を貰いたいのですが?

骨髄バンクパンフレット「チャンス」の送付希望がありましたら、
フリーダイヤル0120−344−106へお電話されるか、最寄りの健康福祉センターや保健所へお問い合わせください。
なお、骨髄バンクパンフレット「チャンス」常設施設にも設置されています。
その他ご不明な点がありましたら、(財)骨髄移植推進財団のホームページにも詳細な説明がありますのでご参照ください

●財団法人 骨髄移植推進財団
 郵便番号:101-0054
 住所:東京都千代田区神田錦町3丁目19番地 廣瀬第2ビル7階
 電話:03(5280)8111 / FAX:03(5280)0002
  ホームページ  メール


Q51 本当に登録人数が足りないと思うのですが、どこかで他人事のようなところが正直あって、どうしても登録するまでの気持ちが湧きません。

確かに最近では、実際に移植を受けた患者さんの姿をテレビや講演会やHPなど、あちこちで見かけるようになり…2004年の時点で、移植数が6,000例、登録人数が20万人を超え、目標は30万人などという莫大な数字を目の当たりにすると…別に自分一人が登録しなくても微々たるものだし、他にも沢山登録している人がいるのだから、誰か提供してくれるのだろう、という考えが浮かんでも不思議ではありません。ですが実際には今でも、年間で2,000人以上もの人が骨髄移植を必要とし、その中で移植まで至らない患者さんは約半数にものぼります。

今これを読んだ人の中には、そんなに足りない状況だったら、それがもっと伝わるようにPRすればいいのに、と思うのかも知れません。しかし、財団やボランティアの皆さんが力を合わせて登録者を全国各地で増やしていくことで、患者さんは何よりも安心して治療に専念することが出来、登録が増えている状況を示すことこそ、今でも提供者を待ち続けている患者さんの生きる希望をもつことにつながることをご理解下さい。

また、30万人の登録人数という目標は、9割の患者さんに対して適合する提供者さんが一人は見つかるという目安として設けられましたが、必ずしも提供候補者さん全員が提供出来る訳ではありません。
骨髄バンク登録は制度の特性上、以下に示す登録取消し理由別集計(中央骨髄データセンター)による事情で、新たな登録者が出てこない場合には時間と共に登録人数が自然減少してしまいます。
そしてこの理由うち、住所不明・検査依頼応答無しによる登録取消しは、ドナー登録者さんが意識さえすれば、解決できるものです。引越し時などに骨髄バンクのことまで気にかけるのも大変かと思いますが、住所・連絡先変更の際には、骨髄データセンターまで必ずご連絡下さい。

白血病などの血液疾患の病気の多くは遺伝に関係ない後天性で、年齢に関係なく誰しもが起こりうるものだと考えられています。本人や周りも最初は「まさか」というのが、多くの気持ちだと思います。ですから、たとえ自分や身の回りの人が発病しなくても、それと同じように真剣な気持ちで登録に臨んで欲しいと思います。


Q52 周りに骨髄移植を望まれる患者さんがいないから、おられれば登録するのに。

必要とされている患者さんは多くいます。
中には世間体を気にして「家族や親戚に迷惑のかかるから」と考えている方や、隠せざるをえない方もおられます。みんなが血液の病気に対するいたわりを持ち、偏見や誤解の無い社会にすることは言うまでもありませんが、現時点では匿名にしておられる患者さん多くおられます。身近にもおられるかも知れません。身近な方だけのためではなくて全ての方のために登録をお願いします。


Q53 ドナー登録するには?

日本では、<骨髄バンク>という組織に「自分の骨髄を病気の人に提供しても良い」という意思を示し、必要な情報を登録することを「ドナー登録」と呼んでいます。
ドナー登録は様々なところで受け付けられていますが、自宅から最も近い施設を知る手っ取り早い方法は、市役所や保健所に電話をかけて直接たずねることです。施設の名前と場所を聞き出したら、そこに予め電話、あるいは郵便で予約を入れると事は簡単に運びます。
また予約前に、骨髄移植推進財団(骨髄バンク)が発行している手引き書『チャンス』を読み、ドナー登録に理解を深めておくことをお薦めします。『チャンス』は財団に郵送を依頼するか、一部の保健所や献血所などで直接手に入れることができます。また財団のウェブサイト(ホームページ)でも閲覧できます。

●財団法人 骨髄移植推進財団
 郵便番号:101-0054
 住所:東京都千代田区神田錦町3丁目19番地 廣瀬第2ビル7階
 電話:03(5280)8111 / FAX:03(5280)0002
  ホームページ  メール


Q54 ドナー登録をしています。先日、バンクニュースが送られてきたのですが、引っ越しをしたため、転送されてきました。住所変更はどのようにすればいいですか?(A.Tさん)

必ずお手続きをお願いします。
住所変更は登録している骨髄データセンターもしくは中央骨髄データセンターへハガキかFAXでご連絡ください。A.Tさんのお手元にもあると思いますが、骨髄バンクニュースに同封されている「変更届」をお使いください。また、中央骨髄データセンターのホームページからも変更できます。
    中央骨髄データセンターのホームページ

患者さんがみつかった場合、JMDP(骨髄移植推進財団)より郵送物がご自宅に届きます。そのため住所変更のご連絡がないと、患者さんと適合したことをお伝えできなくなります。

引っ越しの際は、いろいろなお手続きで大変だと思いますが、ドナー登録の変更も忘れずにお願いいたします。


Q55 転居などで住所が変わった場合はどうしたらよいですか?

登録後、引越しなどで住所が変更になった場合は、最初に登録確認書が送付されてきた骨髄データセンターあてに、ハガキでお知らせください。その際には、お名前、新旧の住所、電話番号、性別、生年月日を必ず明記してください。


Q56 引っ越しや海外赴任などで連絡先が変わった場合はどうすればいいですか?

登録後、引っ越しなどで連絡先が変更になった場合は、登録されている骨髄データセンター宛に、ハガキやファクスでお知らせください。お名前、新旧の住所、電話番号、性別、生年月日を必ず明記してください。また、長期間海外に赴任する場合は、骨髄データセンターにお知らせいただければ、ドナー登録保留の手続きを行います。帰国後、保留解除の手続きをしてください。
    中央骨髄データセンターのホームページ


Q57 長期出張などで、現住所を離れる場合はどうしたらよいですか?

海外赴任などの場合には、骨髄データセンターにお知らせいただければ、ドナー登録保留の手続を行います。帰国後に保留解除の手続をしてください。


Q58 海外への旅行や出張、長期滞在が予定されているのですが?

海外に長期滞在予定がある場合は、ドナー登録を一定期間保留としてください。また、コーディネート中の場合は、渡航先の地域・期間によって対応が異なりますので、海外渡航の予定がわかった時点で、速やかに担当コーディネーターもしくは地区事務局までお知らせください。
渡航地域・期間によっては、コーディネートを進めることができないか、一定期間骨髄提供ができない場合があります。例えば、マラリア感染地域に渡航した場合などがそれに当たります。また、マラリア感染地域以外であっても、海外から帰国後28日以内の骨髄提供はできないことになっています。それ以外にも、欧州各国に一定期間滞在した場合は、コーディネートは終了となります。
なお、骨髄採取予定日の1カ月以内の海外渡航は、自粛をお願いしています。


Q59 ドナー登録をするにあたって費用はいくらかかりますか?

骨髄提供のための検査費用、入院費といった費用は一切かかりません。ただし、ドナー登録手続の際の交通費は、ご負担いただくことになります。


Q60 輸血を受けたことのある人がドナー登録できないのはなぜですか?

患者さんが血液を介して病原体に感染する危険性が否定できないからです。
現在の血液検査では、その技術の限界から、輸血を受けた方の血液に検出できないウイルスや未知のウイルスが介在している可能性を否定できません。輸血歴のある人の血液が混じった骨髄液を患者さんに輸注すると、患者さんが移植後深刻な状況に陥る可能性があることから、このような基準が設けられています。「輸血の安全性を最優先する」という方針によるものなので、今後因果関係がないと判断されれば変更される可能性もあります。

もちろん、輸血を受けたことのある人が現在何らかのウイルスに感染している、または病気であると断定しているわけではありません。あくまで患者さんの術後の経過を考慮してのこととご理解ください。移植を受ける患者さんは自分で血液を造り出せない状態にあるので、体内に少しバイ菌が入っただけでも命とりになることがあるのです。

ときどきドナー候補者の方の中に「輸血を受けたかもしれないが、昔のことなのでよく覚えていない」という方もおられます。そのような場合は、患者さんの主治医へ候補者の方に輸血歴がある可能性をお伝えし、最終的にドナーになっていただくかどうかの判断を委ねています。

≪MEMO≫
上記の根拠として、輸血を受けた人は輸血を受けたことのない人に比べて肝炎ウイルスマーカーの陽性率が高いと言うデータがある。また輸血によって感染する可能性のある病原体は、もちろん肝炎ウイルスだけではなく、未知のものもありうる。前述のとおり検査技術がまだ十分でないためです。ちなみにPL法施行(平成7年7月1日)以前は、輸血歴のある方からの献血を受付けていたが、血漿部分だけを加熱した後、薬の原料として利用していた。PL法施行後は「より安全に」ということで、薬の原料としても使用できなくなり、献血による血液が全く利用できなくなっている。


Q61 登録年齢が「18歳以上」となりましたが、骨髄提供はこれまで通り「20歳以上」なのはどうしてですか?

日本で平成17年3月から「18歳以上」となったのは、国の審議会である造血幹細胞移植委員会で議論した結果で、登録に関しては問題がないという判断がなされました。適合検索と提供は従来どおり「20歳以上」としているのは、日本の法律で成人は20歳以上となっており、骨髄バンクではドナーの自由意思が尊重されるため、骨髄提供は成人が望ましいとされたからです。つまり、18歳以上20歳未満の方については現在、「予備登録」としての性格を持っているとご理解ください。



Q62 私は提供したい気持ちで一杯なのに家族がどうしても納得してくれません。

このようなお悩みは、よくあるようです。2005年3月からは、登録時でのご家族の同意を得る必要はなくなりましたが、提供時にはご家族の同意が必要条件となっています。そのため、適合する患者さんが見つかってからご家族と話し合うことになる場合も多くなるのかも知れません。

コーディネーターはあくまで客観的な事実を紹介したり、質問に答えたり、相談に応じたりすることに徹します。言い換えると、コーディネーターがご家族の問題に介入することは出来ませんから、ご家族へ骨髄提供のご協力を呼びかけることはありません。よって、ご自身の提供したい意志を通したいというのであれば、ドナーさんご自身がご家族を説得することになります。これにはよほどの強い意志が必要ですし、非常に大変なことだと思われます。ですので、出来れば適合する患者さんが見つかる前に予め、登録後から充分な時間をかけて話し合ってご家族の同意を得ておくことが望ましいと考えています。


Q63 18歳からドナー登録ができるようになると聞きました。早速、親に相談したところ、登録は反対されてしまいました。私はどうしても登録したいと思っています。どうしたらいいですか?(M.Yさん 18歳)

3月1日からは、登録可能です。
今年の3月1日からは、18歳からドナー登録ができるようになり、登録時の家族同意も必要なくなります。M.Yさんも来月から登録ができます。
ただし、実際に患者さんとHLA型の適合検索を行うのは、20歳からです。提供はご本人が単独で法律行為を行える成人に達しているのが望ましいことから、18歳で登録されたとしても、20歳までは適合検索は行いません。

また、登録のときには必要のない家族の同意も、提供時にはこれまでどおり不可欠です。骨髄提供の直前に、ご家族の強い反対でドナーが同意を撤回すると、患者さんは致命的なリスクを負います。そうした最悪の事態を招かないためにも、家族の同意をお願いしています。実際M.Yさんが提供できる年齢になるまでには、まだ時間があります。それまでにご家族の方々に骨髄バンクのパンフレットなどを見てもらい、骨髄提供について正しく理解していただくことが重要だと思います。そのうえで、ご両親とよく話し合っていただきたいのです。骨髄提供はドナーさんご本人のお気持ちはもちろんのこと、ご家族のご理解があって、はじめて実現するものとお考えください。


Q64 ドナー登録しようか、まだ迷っています。骨髄バンクでは、提供は2回までと決まっているようですが、たとえば2回提供してしまったら、身内や身近な周りの人が発症したとき、もし自分と適合したとしても提供できないんですか?(M.Eさん)

血縁間の骨髄移植であれば、可能と思われます。
骨髄液は採取しても数週間で元の量に戻りますし、造血機能も回復します。医学的には何度でも提供は可能と考えられます。日本の骨髄バンクでは現在、提供は2回までとしていますが、2回目の骨髄提供から3年以上経過した後にドナーのご意思があれば3回目の骨髄提供を可能とする方針が決定し、実施に向けて準備をしています。

「2回または3回」という回数に特段の根拠はありません。しかし骨髄バンクは、ドナーの方の安全性を最大限確保しなければなりません。全身麻酔等による身体への影響を考慮したもので、「3回以上採取しても大丈夫」という医学的な確証が今のところないため、このような基準を設けているとお考えください。

したがって骨髄バンクで2回提供した後、「骨髄バンクを介した骨髄提供でなく、血縁者間の骨髄移植」であれば、提供は可能と思われます。


Q65 やっぱり我が子を最優先させたいのでそれまで提供はとっておきたいという気持ちが先行してしまいます。

まずは、誤解されやすい次の2点を紹介します。
65−1.提供後には骨髄は1ヶ月ほどで回復し、1年後には骨髄バンクで再び提供することができます。

現在のところ骨髄バンクで提供できる回数は2回までですが、その理由は、全国協議会ニュースを引用しますと、「健康上の問題が起こったわけではありませんが、非血縁ドナーは全くの善意のボランティアであることから、3回目の提供については慎重に対応すべく検討を始めることになったため」 として決めたもので、一部の人ばかりに多くの負担をせず、多くの人が少しずつ助け合うという意図も含まれます。

65−2.移植が必要となる人は、10万人に1人程度です。さらにその中で、血縁者で白血球の型が一致するのは、兄弟で25%、親子ではごく稀と言われています。

誰だって、できることなら他人の力を借りずに身内の中で提供者を見つけて移植をしたいのです。でも、それでは多くの方々が提供者を見つけられなかったから、こうして全国・世界を結ぶ「骨髄バンク」や「さい帯血バンク」ができたということをご理解下さい。

また、たとえ提供相手がご家族でなく見ず知らずの方になったとしても、その体験や過程を通じて骨髄移植がどのようなものなのか、ご家族皆さんで話し合うことになり今後のご家族の健康意識にもつながる貴重なものになるのではないでしょうか。


Q66 大変言いづらいことなのですが、事情により登録抹消となってしまいました。せっかく適合する患者さんが見つかったのに申し訳ない気持ちで一杯で周りの人にも言い出せず、骨髄バンクのことを見かける度に胸が痛みます。

これまでの回答でも紹介していますが、ご家族の反対、休暇が取れない、ご自身の健康上の理由などで、ご本人に提供する意志があっても、登録保留・抹消となる場合があります。その時の辛さや無念さを周りの人に伝えて理解を求めようとしても、気楽に話せない面もあるでしょうし、難しいところもあるかと思います。

骨髄バンクは何十万人もの登録者皆さんで支えあって成り立っています。もちろん、ご自身が骨髄バンクに登録するということにはボランティアによるものだとはいっても、きちんと自覚と責任をもつ必要がありますが、だからといって結果的に提供出来なかったことに関して自責の念に駆られるようなことがあっては、登録の輪は広がりません。むしろ私共としては、提供したいという気持ちを抱くこと自体が、『ありがとう』という感謝の気持ちで一杯なのです。

ですから、たとえ結果として自分の骨髄を提供出来なかったとしても、その体験談を私達にお寄せ下されば、と思っています。どうして提供までに至ることが出来なかったのかを知ることでこれから登録しようと思う人にとって参考になるものを紹介したり、それは我々の力によって改善出来るのかを検討するなどして貴重なご意見として受け止めたいと考えております。

何も骨髄提供だけが貢献につながるものではありません。献血する人、募金する人、普及啓発活動をする人、提供候補者さん・患者さんからの生の声によるご指摘…沢山の皆さんがあらゆる立場からそれぞれの役割を果たすことで初めて骨髄バンクの機能を充分発揮することが出来ますので、是非そのサポートをお願いします。


Q67 ドナー登録したいと思っていろいろ調べていたところ、イギリスに滞在したことがある人は骨髄提供できないとありました。私は1997年夏より1年間イギリスに滞在していました。登録したとしても提供できないのなら、あまり意味がないですよね?少しでもできることがあれば…と思いますが、どうなのでしょうか。(S.Iさん)

ドナー登録可能です。
ドナー登録へのお気持ち、まことにありがとうございます。
S.Iさんのおっしゃるとおり、これまでは1980年以降
・ BSEが発生した欧州10カ国に通算6カ月以上
・ 英国の滞在期間が通算1カ月以上
どちらかに該当するドナーについては、骨髄提供ができないとされていました。

しかしながら、今年5月に行われた造血細胞移植委員会において、欧州滞在歴があるドナーからの骨髄提供は原則として見合わせますが、骨髄移植における緊急性、代替性を考慮し検討した結果、当分の間、骨髄提供者に欧州滞在歴があっても、変異型クロイツフェルトヤコブ病および骨髄移植に伴う感染リスクについて移植医から十分な説明を受けた上で、患者さんがドナーから骨髄提供を受けることを希望する場合は、提供可能とされました。
したがって、S.Iさんもドナー登録可能ですし、登録はけっして意味のないことではありません。


Q68 欧州に一定期間滞在していた人は献血ができないようですが、ドナー登録もできないのでしょうか?

ドナー登録は可能です。献血においては、例えば英国滞在の場合、それが1日であってもご遠慮いただいています。しかしながら、骨髄バンクへのドナー登録では、そうした制限が2005年6月に撤廃されました。骨髄バンク事業の特性から、厚生労働省がそのように決定したためです。


Q69 登録条件は一応満たしているのですが、持病を抱えているため不安です。

条件をクリアした人みんなが、移植に適した健康体と判断されるのかというと、そういう訳ではありません。登録会場では、なるべく簡便に登録できるようにするため上記の登録条件を自己申告による確認で済ませますが、患者さんと適合して移植を視野に入れた確認検査・健康診断では、上記の既往歴等以外の持病も合わせて普通の健康診断での判断よりも厳しく慎重に判断しますので担当する医師にご相談下さい。また、登録会場でも医師がおりますので、そちらでも相談出来ます。


Q70 登録された住所、氏名等の個人情報、HLAデータが他の目的に使用されることはないですか?

骨髄バンク事業以外への使用はありません。また、登録内容の検索には二重のパスワードを設定しており、セキュリティーには万全を期しています。


Q71 ある作品を見て(読んで)登録しようと思いました。こんなきっかけでいいのでしょうか。

今まで興味関心なんて全くなかったのに・・・
自分が流されやすい人間と思われてしまうのではないか・・・
提供者がみつかって、移植に向けて家族や職場仲間に話をする時のことを考えるとこんな不安がよぎってしまうのかも知れません。でも、よく考えてみてください。
移植を待っている患者さんが必要なのは日本・世界の中から、自分の型にできる限り適合した最良の条件で骨髄移植を受けることであって、どういう経緯で登録したのか、の問題ではないはずです。

初めは家族が賛成の立場ではなかった提供者もいます。ですが、心を動かされた作品を家族にも紹介して、その感想や骨髄バンクについて一緒に語り合えば、きっと共感して理解が得られるのではないかと思います。

職場仲間にしても、骨髄移植推進財団から呼ばれて仕方なく休む、という説明ではなく、自分の家族の命を救うのと同じような気持ちで、自分の骨髄を提供したいと自発的な気持ちを強く訴えれば、きっと快く送り出してくれるでしょう。

また、創った側の立場としても、自分の作品をきっかけに関心をもって欲しいという想いで作ったのですから創作関係者もきっと大いに喜ぶと思います。ですから、どうぞ自信をもって登録して下さい。


Q72 ドナー登録をしたい場合にはどこに行けば良いのですか?

各赤十字血液センター献血ルーム等で受け付けています。


Q73 健康であれば54歳を超えても登録はできますか?

ドナー登録条件の年齢制限は、善意の人であるドナーの安全のために設けられています。54歳以上の方は、造血機能に問題はなくても、生活習慣病など健康上の理由でコーディネートが中止になる可能性が高くなると予想されるため、日本においてはドナー登録をご遠慮いただいています。なお、提供に向けてのコーディネート期間中に55歳の誕生日を迎えられた場合、コーディネート終了まで手続きは続行されます。ドナー登録が可能な年齢は、世界各国の骨髄バンクによって幅があります。


Q74 ドナー登録はなぜ50歳まで?

海外では55歳〜60歳までドナー登録し、血液難病の患者に骨髄を提供するのが当たり前になっています。しかし日本は50歳までと短めに制限されていたのはなぜか。
この疑問に骨髄移植推進財団ドナーコーディネート部は、以下の3つを理由としてあげています。
1.年齢が上がるにつれて生活習慣病(いわゆる成人病)の割合が増えるため。
2.厚生労働省によると、年齢が50歳を超えると循環器系の有病率が上がるらしいから。
3.他の年代と比較して、健康上の理由で提供取り止めになるケースが多いから。
もっともらしい理由ではありますが、根拠となっている具体的なデータが数値として示されていないので部外者には大変に是非を検証しにくい理由になっています。
血縁者(兄弟姉妹など)間では骨髄提供に年齢上限を特に設けていないことなどを考えると、いまいち説得力に欠ける話であったのかもしれません。
そこで2005年5月、厚生労働省はドナー登録の上限となる年齢上限を5歳引き上げる決定をしました。これによって、現在では55歳の方までドナー登録できるようになっています。


Q75 平日以外の土・日にドナー登録できないのですか?

ドナー登録受付は平日に限られていたため、仕事などの都合により、登録の意志はありながらドナー登録ができないという方もいらっしゃると思いますが、全国的にイベントなどによる休日のドナー登録受付が始まっています。


Q76 ドナー登録には、どのくらいの時間がかかるのですか?

ドナー登録に要する時間は約1時間です。骨髄提供に関するビデオ閲覧と説明の後、腕の静脈から2mlの採血が行われます。これでドナー登録は完了です。後日、ドナー登録確認書が送られてきます。なお、ドナー登録の際に『献血もどうですか?』とお願いされることが多いようです。時間に余裕がある方は、献血にもご協力お願い致します。


Q77 登録を取り消したいときはどうすればいいですか?

ドナー登録はコーディネート期間の一部を除き、いつでも取り消すことが可能です。登録されている骨髄データセンターへご連絡をお願いします。
    中央骨髄データセンターのホームページ


★骨髄提供について

Q78 コーディネートとは?

ドナー候補者となってから、実際提供が終了するまでの間の確認検査・最終同意・健康診断等全での手続きを総称してコーディネートと呼びます。


Q79 ドナーコーディネートって何ですか?

HLA(白血球の型)が患者さんと適合したドナー登録者(この段階では「ドナー候補者」)が、最終的に骨髄提供者として選ばれ、骨髄を患者さんに提供するまでの調整を「ドナーコーディネート」といっています。この間には、コーディネーターによる面談、説明と同意、各種の検査が行われます。コーディネーターは全国の各地区事務局に配置され、ドナーの方と病院や財団(骨髄バンク)との連絡・調整を担当します。


Q80 国際コーディネートと、国内コーディネートとの違いはなんですか?

基本的な事柄に大きな違いはありません。ただ、国際コーディネートでは骨髄を海外へ運搬する関係で、採取病院は関東、近畿、中部、九州などの大都市に限られる場合もあり、自宅から離れた病院に入院していただくケースがあります。また、海外へ運搬するため採血量が国内と若干変わってくる場合もあります。


Q81 献血には引き続き行けるのか?

ドナー登録しているだけなら、全く問題ありません。しかし患者の一人とHLAの型が一致し、実際に骨髄移植のための準備が始まってからは、貧血や検査データに異常が出る可能性があるため控えるよう言われるはずです。無論、移植が無事に終了した後はまた献血に行くこともできるようになります。


Q82 献血は出来ますか?

コーディネート開始以降は、検査データヘの影響や貧血を防ぐため、控えましょう。
(提供後も半年程度は控えた方がいいです)


Q83 献血は継続しても大丈夫ですか?

登録中は差し支えありません。コーディネート開始以降は貧血や検査データに異常値が出る可能性があり、提供時期が早まる可能性もあるため、控えていただいています。


Q84 骨髄採取はいつごろ?都合(土・日曜など)は聞いてもらえますか?

個々の例によって違いがありますが、確認検査から採取まではだいたい3〜5カ月となっています。入院期間は3泊4日が最も多いのですが、土・日曜は対応できないところがほとんどです。そのため、時期・曜日は必ずしもご要望に添えるとは限りません。コーディネーターにご相談ください。


Q85 ドナー登録をしたらすぐに骨髄提供をすることになるのでしょうか?

ドナー登録とは、自分のHLA型が骨髄データセンターのデータベースに登録されるということです。このデータベースから患者さん側からの依頼で、HLAの一致した5人までのドナー候補者が選定され、ドナーコーディネートが開始されます。従って、登録後早々にコーディネートが開始されることもあれば、何年たっても全く連絡が来ないこともあります。コーディネートが開始されますと、HLA型の更に詳しいマッチング(DNA上での一致)がされて、患者さんにとって一番適切なドナーと判断される方が、最終的な骨髄提供者として選定されます。


Q86 確認検査は近くの施設で受けたいのですが?

確認検査は、財団が委嘱した調整医師(骨髄移植と骨髄採取について熟知している医師)がドナーへの医学的な説明をし、さらにドナーの意思確認・採血を責任をもって実施します。そのため、調整医師の所属している病院でしかできません。ご了承ください。


Q87 どこの病院でも確認検査や骨髄採取を受けることができるのですか?

確認検査は調整医師のいる病院でできます。骨髄採取は、骨髄移植推進財団が認定した病院でしかできません。


Q88 提供するのはどこ?

骨髄移植推進財団が指定する骨髄採取認定施設で骨髄を採取します。
施設の都合により、他地域の場合もありますが、基本的には施設を選択することができます。
海外の患者さんに提供する場合は、成田空港や関西空港の近くの病院でお願いすることになります。  


Q89 骨髄提供(骨髄採取)の際に入院する病院は選べるのですか?

骨髄採取はどこの病院でも採取可能という訳ではありません。日本骨髄バンクが認定した経験豊富な施設の中から骨髄採取病院が決定されます。その際には、なるべくドナーの方の居住地に近い施設が選ばれますが、何らかの事情により、ご希望以外の施設となることもあります。なお、採取施設は患者さんの移植病院とは別の病院です。これは、ドナーと患者さんのプライバシー保護のためです。


Q90 採取病院(病室)や麻酔方法は選べますか?

骨髄採取はドナーの安全を第一に、骨髄バンクが認定した経験豊富な病院で行われます。採取病院は、可能なかぎりドナーの方の希望を伺って調整しますが、必ずしも希望に添えない場合もあります。日程は施設の状況を確認し、相談させていただきながら調整を進めますので、財団が勝手に決めてしまうことはありません。病室については、採取施設の都合が優先されます。麻酔は原則として全身麻酔で行われます。


Q91 確認検査の同意書は不可欠でしょうか?

検査用の採血を含めた同意書になりますので、どの項目でも同意していただけない場合は、コーディネートを進めることはできません。


Q92 確認検査ってどんな事するの?

血圧測定・血液検査・問診HLA型の再確認(DNAタイピング)などを行います。
これによりドナーとしての安全が確保できるか、的確であるかの判定を行います。


Q93 健康診断の中身は?

血圧測定・心電図血液検査・レントゲン撮影・肺活量・尿検査などを行います。
(女性の場合、相談の上妊娠反応)


Q94 ドナー登録した後、確認検査から提供に至るまでの期間、病院への訪問回数などについて聞かせてください。

患者さん側からコーディネートの依頼が地区事務局にきます。原則としてドナーの住む地域の調整医師がいる病院で、確認検査(一般血液検査とHLA−DNAタイピング採血)が行われます。もし、この結果により骨髄提供の依頼があれば、最終同意をすることになります。このときは家族が同席した上での同意が必要となります。最終同意までには、2回調整医師の病院まできていただく必要があります。
最終同意の後は、骨髄採取の日程調整が行われ、採取病院が決まります。採取の約1ヶ月前に健康診断を採取病院で行います。また自己血の採血を1ないし2回別に行います。最終同意後は、入院までに2回ないし3回採取病院にきていただきます。
確認検査から骨髄採取まで早い場合は2ヶ月、平均5〜6ヶ月ほどかかります。


Q95 ドナーの入院期間は?

入院の時期は、骨髄移植が行われる前日が一般的です。それから、移植のあと大体3日間入院をすることになります。人によっては伸びることもありますが、大体3〜6日程度と考えればよいでしょう。
骨髄移植推進財団の調査によると、入院期間の割合としては、「4日間」が2,946ポイントと最も高く、次いで「5日間」が965ポイントで2位、3位は「3日間」319ポイント、4位は「6日間」317ポイントです。

入院期間が長引く最大の理由は、実は病院側のスケジュールの都合に過ぎません。
たとえば「骨髄採取を行うのは月曜日」といったルールを決めている大学病院などは、事務処理の都合などで前の週の金曜日から入院してほしい、とドナーに頼むでしょう。
採取の前日に入院してもらい、それから検査をおこなって翌日に本番を迎える―というのが多くの場合で共通したやり方なのですが、月曜日に採取するとなると、日曜日に入院してもらわなければならないからです。しかし、大学病院は土日に手続き業務を行わないのです。これは入院手続きを行うこともないということであり、その都合でドナーが金曜日から入院せざるを得なくなるわけです。

こうした病院側の一方的な都合で日数を伸ばされるのが気に食わなければ、ドナーは最初に対策を打つことができます。
タイミングは適合者として選ばれたときです。ドナー候補は自分が利用する病院を幾つかの候補から選択できる(これは地域にどれだけ財団の指定病院があるかによっても違います)のですが、このときコーディネーターに「どの病院を選ぶとどれだけの入院日数になるか」を確認しましょう。
そして都合の良い場所を選び、そこで採取が行われるよう調整してもらうのです。
「採取日を月曜日に固定しているような病院はお断り」「3泊4日で済ませることができる病院にしてほしい」といった条件をだせば、コーディネーターはできるだけ要望に応じようと努力してくれるはずです。
この「病院選びの段階で、入院日数をある程度コントロールできる」という事実は、財団が発行するマニュアルにはどこにも書かれておらず、コーディネーターも説明しないことがあるのだとか。大切なことなので是非とも覚えておきたいことです。


Q96 入院は何日ぐらい?仕事はいつから?

骨髄採取のための入院は、採取日の前日から3泊4日程度となります。回復が早ければ、すぐに復職・復学していただけます。重い荷物を持ち運ぶなどの仕事の場合、復職は遅めにされた方が、よいかもしれません。


Q97 採取後、すぐに仕事に復帰できますか?

採取後は通常2〜3日間入院し、安静に過ごしていただきます。通常は退院後から普通の生活に戻れますし、復職・復学が可能です。なお、しばらくの間、針を刺した個所は清潔に保ち、過度の運動は避けるようにしてください。


Q98 骨髄提供時の入院費用はどうなる?

ドナーの方の負担は一切ありません。
骨髄バンクにおける骨髄提供に関して、ドナーの方に費用を負担していただくことは一切ありません。HLA型が一致する患者さんが見つかった場合、骨髄提供までには、
 1.コーディネーターとの面談と医師によるドナー適格性検査(確認検査とも言います)、
 2.最終同意を確認する面談、
 3.採取病院での健康診断、採取に備えた自己輸血用の血液の採取、
 4.採取のための入院、などがありますが、面談や検査、健康診断、さらに入退院時に必要な交通費は骨髄バンクが実費をお支払いします。
また骨髄採取のための医療費、入院費用は提供を受ける患者さんの健康保険から支払われます。個室料金や入院、通院が長引いた場合でも、ドナーの方に負担が及ぶことがないように対処しています。

ただし、ドナー登録や骨髄採取入院のため職場を休まれた場合の休業補償、お子様の保育料、ご家族の介護料などはお支払い出来ません。
お勤めの職場が「骨髄ドナー特別休暇制度」や「ボランティア特別休暇制度」を設けている場合は「登録、提供手続きの証明書」を発行しています。ご希望の方は、担当のコーディネーターにお申し出下さい。


Q99 ドナー登録や骨髄採取のための入院にあたって、費用はかかりますか?

骨髄提供のための検査費用、入院費といった費用などは一切かかりません。ただし、ドナー登録手続きの際の交通費は自己負担となります。


Q100 コストの負担は?

日本の場合、入院費用・検査費用・交通費など、ドナーが金銭的負担を負うことは全くありません。これらは患者側が支払ったり、医療保険や財団の援助金がカバーすることになります。
ただし、日本では社会的なシステムの整備が遅れていて、移植のために会社を休むことになっても、多くの場合で何の保障もしてくれはしません。ただの欠勤(普通は有給休暇をとることになるでしょうが)扱いとなる場合が多いでしょう。
この点での経済的な損失は、結局ドナーが負うことになります。近年、これに関しては議論が活発におこなわれており、社会的・法的な救済処置が求められています。

2005年からは法改正の影響もあって、骨髄提供に給付金を出す保険なども登場しています。医療保険や入院関連の特約がついた死亡保険の一部サービスとして提供されているケースが多く、骨髄提供が決まったとき1回に限って10〜20万円程度の給付金が支払われる―という内容が、現時点での主流となっているようです。
根本的な解決になるかは別ですが、これからドナー登録しようと考えておられる方は自分なりに確認されてみるのもいいかもしれません。
なお、こうした保険が存在する事実は骨髄バンク、そのコーディネーターなどからは一切知らされることはありません。一部企業の利益に繋がるようなアクションをとることが禁じられているためです。


Q101 骨髄提供には家族の同意が必要なのはなぜですか?

ドナー登録者は成人に限られますので法的には必要ありませんが、日本の社会通念から、実際にはご家族などの支援が物理的にも精神的にも不可欠なのが現状です。骨髄提供の直前に、ご家族の強い反対でドナーが同意を撤回すると、患者さんは致命的なリスクを負います。そうした最悪の事態を招かないためにも、ご家族の同意が必要なのです。


Q102 家族の同意はどうして必要なの?

日本の社会では、個人の意志とともに、ご家族の意見が大切にされています。そのため、ご家族のご意向を尊重し、あらかじめ了解を得ておいてください。


Q103 骨髄提供に、家族の同意が必要なのはなぜですか?また、「家族の同意」の範囲はどこまでですか?

ドナー候補者は成人ですから、法的にはご家族の同意は必要ありませんが、実際にはご家族などの支援・協力が不可欠です。また骨髄提供の直前に、ご家族の強い反対でドナーが同意を撤回すると、患者さんは致命的な状況に陥ってしまいます。そうした最悪の事態を招かないためにも、ご家族の同意が必要です。最終同意面談は、未婚の方はご両親、既婚の方は配偶者の同席が原則です。同席者がいない場合や、やむをえない事情があるときは、コーディネート開始後、コーディネーターにご相談ください。


Q104 「家族の同意」の範囲はどこまでですか?

骨髄移植推進財団では、ドナーとご同席いただく方を「ご本人にとって最も影響力のある方」と定義しており、原則として未婚の方はご両親、既婚の方は配偶者にご同席をお願いしています。しかしいずれにも該当する方がいらっしゃらないケースもあります。過去においては、会社の上司の方や、お友達の方にお立ち会い頂いた例があります。


Q105 骨髄ドナーの方への負担はありますか?

数百ミリリットルの骨髄液を採取しますので、骨髄ドナーの方は、貧血状態になるわけです。その対応のため、予め骨髄ドナーご自身の血液を冷蔵保存しておき、骨髄液採取の当日に輸血して返すこと(自己血輸血という)が必要です。また、骨髄液採取時には、注射器を腸骨に刺すため全身麻酔を行いますし、検査などのため前後数日間の入院をしていただいております。もちろん、入院や検査の費用はかかりませんし、事故が起きた場合の補償制度も整っています。


Q106 骨髄提供で、ドナーの経済的な負担はありますか?

骨髄提供のための検査費用・入院などの医療費は一切かかりません。但し一次検査と二次検査の際の交通費はドナー登録者にご負担いただいております。


Q107 提供時の休業補償はありますか?

善意にもとづく骨髄提供ですので、登録や提供の際に仕事を休まれても、休業補償はありません。なお、官公庁や一部の企業などで「骨髄ドナー特別休暇制度」を導入しているところもありますので、ご希望の方には証明書を発行いたします。


Q108 自営業だけど。収入はどうなるの?

骨髄提供にかかる交通費・宿泊費・入院費などの必要経費は全て患者負担により支払われますが、休業による所得補償は一切行われません。


Q109 入院中のこども世話が必要です。

残念ながら骨髄バンクでは、託児料や保育料などの保証はされません。
ご家族にご協力いただけるよう、お話しください。


Q110 患者に考えられる危険は?

骨髄移植の成功は誰にも保証できません。未知の事例がなくなったわけではありませんし、人の顔がそれぞれ違うように、移植がもたらす反応や経過にも個人によってさまざまな差が出てくるのです。
そのなかでも無視できないのは、生殖機能が失われる可能性があることです。
患者は多くの場合、強力な放射線をつかった治療を受けます。その影響で、子どもを作るために必要な能力が失われてしまうことがあることは、この場でも特筆しておく必要があるでしょう。
クローズアップされることが少なく、一般的にはあまり知られていないことですが、この点について非常に悩まれる患者もあるようです。骨髄移植を必要とするような病気は、ときに単なる健康上のことを超えた問題を患者に投げかけることがあります。それは失われた時間や社会的な立場、交友関係、そしてある種の将来であったりするようです。


Q111 ドナーに考えられる危険性は?

ほとんどありません。ただし、全くないとも言えません。
1969年以降、骨髄移植は世界で数万件行われてきましたが、それに際して起こった死亡事故が全部で4件あります。そのうち日本では1件起こっており、これは骨髄バンクを介さない血族間(家族の間)での事故でした。
また、死亡に至らずとも、全身麻酔には危険性が少なからず伴ないます。他にもイレギュラーな事故として、骨髄を採取する注射の針が腰に刺さったまま折れたりすることも、とても小さな可能性ですがあり得ます。近年起こった大きな事故は以下の通りです。
●1998年、骨髄採取後の非血縁ドナーが急性C型肝炎を発症。院内感染による。
●2000年、骨髄採取後の非血縁ドナーに血腫(血のかたまり)が発生。
●2003年、骨髄採取後の非血縁ドナーに長期の腰痛。両側腸骨不全骨折、骨髄浮腫と判明。
●2003年、骨髄採取後の非血縁ドナーに酸素飽和度の低下の症状。
●2003年、骨髄採取後の非血縁ドナーの左腸腰部位に血腫が発生。
いずれの場合でも緊急に処置が行われ、ほとんどのドナーは極短期間で社会復帰を遂げています。また、こうした事故の度に安全対策が見直され、より安全性は高められています。今後も事故は起こるかもしれませんが、可能性はそれほど高くありません。


Q112 もし、事故が起きた場合の保証はありますか?

骨髄提供に際し万が一の事故が起きた場合、最高1億円の保証制度があります。死亡時には一律1億円、後遺障害には程度により300万円から1億円の保証があります。


Q113 患者さんは無菌室で過ごすと聞きましたが、なぜですか?どれくらいの期間いなければならないのですか?

ドナーから提供された骨髄が患者さんの身体の中で血液細胞(白血球、赤血球、血小板)を作り出すまでの約3週間の間は空気中などの環境にある細菌やかび(真菌)などで肺炎などをおこす危険性が高いので、無菌室で過ごすことになります。患者さんにとってはストレスの多い期間と言えます。


Q114 ドナーリンパ球輸注療法(DLI)とはなんですか?

リンパ球が、感染症の原因細菌やウイルスを攻撃することを利用し、EBウイルス感染症などを発症した場合に、ドナーからのリンパ球を投与する治療法です。また患者さんの白血病細胞を攻撃することを利用し、再発した白血病等の移植患者さんに対してDLIを行います。骨髄バンクでは平成12年1月より、移植施設からの依頼によるDLIのための調整を進めています。


Q115 末梢血幹細胞移植(PBSCT)とはなんですか?骨髄バンクでは実施していないのですか?そうだとすればそれはなぜですか?

末梢血幹細胞移植(PBSCT)とは、ドナーに造血幹細胞を増やすG−CSFという薬を4〜5日投与して、血液中に流れ出す造血幹細胞を成分献血と同様の方法で採取し、それを患者さんに輸注するという治療法です。諸外国の骨髄バンクではすでに採用されているところもあります。ドナーにとっては、全身麻酔をかけなくてもよいというメリットがあり、また、患者さんにとっても移植後の造血機能の回復が早いという利点があります。しかし一方で、成分献血の際に気分が悪くなったり意識を失ったりする「血管迷走神経反射」と呼ばれる反応が起こる可能性がわずかにあり、またG−CSFという薬品の投与により、副作用がみられることが報告されています。我が国での非血縁ドナーからのPBSCTにつきましては、ドナーの副作用などについて研究が続けられていますが、具体的な実施時期や方法についてはまだ決定していません。


Q116 全身麻酔には、どんな危険があるの?〈前編〉

非常にまれな確率ですが、呼吸停止などの事故が起こる可能性があります。
何十万件に1件という非常にまれな確率ですが、麻酔中には血圧が低下したり、意識が戻らなくなって死亡してしまう、といったことが起こるんですね。その原因は、麻酔中の呼吸を補助する器具のトラブルや、麻酔が合わない特異体質など、さまざまです。ドナーになる方は、これが非常に気になると思いますが、私たち採取する医師もできる限りの注意を払って、そうした麻酔事故の防止には気をつけています。
採取の時は、採取を担当する医師のほかに、必ず麻酔医が立会います。そしてモニター機器を使って、血圧や呼吸の状態を一定間隔でチェックし、血圧や呼吸に何らかの異常が現れたら、すぐに採取は中止して、回復の処置をします。骨髄バンクでの採取、特に骨髄バンクが指定した施設で行われる骨髄採取では、こうした麻酔中の安全管理が義務づけられ徹底して行われています。また最近はモニター機器の進歩により、麻酔中の安全管理は確実に向上しています。
さて、冒頭で申し上げた「麻酔が合わない特異体質」については、自分はどうなんだろう?と心配な方もいらっしゃるかと思います。そこで、このお話は引き続き次回にしたいと思います。


Q117 全身麻酔には、どんな危険があるの?〈後編〉

非常にまれな確率ですが、呼吸停止などの事故が起こる可能性があります。
前回、全身麻酔の事故のなかには特異体質から起こるものがあることを述べましたが、これはドナー候補の方の家族歴をうかがったり、事前の健康診断(血液検査等)を行うことで、あらかじめチェックすることができます。その結果、麻酔が合わないと判断された人がドナーになることはありません。
最終的にドナーとなった場合、血液検査は採取の1カ月前と、採取のための入院時の2回行なわれます。この時、血液検査の項目に異常が見つかれば、急遽代わりのドナーを探したり、検査結果で安全が確認できるまで採取を2、3日延ばすという措置をとります。
以前、採取入院の前日にマラソン大会に出場したという人がいて、入院して検査してみたら、そのままで麻酔を受けると危険かもしれないという結果が出ました。この方の場合は体質的な問題ではなく、激しい運動による一時的な変化だということがはっきりしていたので、採取を遅らせて対応しました。
しかし、採取が遅れると今度は提供を受ける患者さんのほうが危険になってしまいます。ですから、激しいスポーツは骨髄採取の前は控えていただくようにしています。
骨髄移植は、それを必要としている患者さんがいるから行われているわけなんですが、骨髄を提供するドナーの方の健康や安全にも、最大限の注意を払いながら行われていることをご理解いただきたいと思います。


Q118 海外の人に骨髄をあげると、ついでに旅行可?

実際のところ、日本人が外国人のために骨髄を提供するようなこともあり得ます。しかしその場合、日本人の骨髄は国内で採取され、抽出した骨髄液のみを海外へ運搬します。つまり提供者が行けるのは、国内の病院のベッドまでです。およそ三泊四日の旅となります。
ただし海外へは空輸による搬送をすることになるため、現在のところ、骨髄採取は関東・近畿・中部・九州の国際線が発着する空港に近い施設で行われます。以上の事情から、場合によってはこれらの都市にまで遠征する必要は出てくるでしょう。その場合の交通費などは、提供者の負担とはなりませんのでご安心ください。


Q119 外国の患者さんに骨髄液を提供する場合は、患者さんがいる国まで行かなければならないのですか?

その必要はありません。
国内で採取した骨髄液を海外へ運搬しますので、国内の患者さんに提供する場合と同様、ドナーの方が患者さんの入院している病院までお越しいただくことはありません。ただし空輸による搬送のため、現在、骨髄採取は関東・近畿・中部・九州の国際線が発着する空港に近い施設に限られています(就航便があれば他の地域でも可能な場合があります)。ドナーの方のお住まいによっては、遠方の採取施設まで何度もご足労いただかなくてはなりません。あらかじめご了解ください。
JMDPはNMDP(全米骨髄バンク)、BTCSCC(台湾骨髄バンク)、KMDP(韓国骨髄バンク)と提携を結び、これらの国と地域を中心に、これまで海外へ126件、海外から133件の骨髄移植を仲介しています。海外患者さんとのコーディネートは、国内のコーディネートと比べるとドナーの方にご負担をおかけする場合もありますが、骨髄移植が必要なすべての患者さんへ平等にチャンスを提供する骨髄バンクの理念をどうかご理解いただき、ご協力をお願いします。


Q120 なぜ出産後1年を経過しないと提供できないのでしょうか?

ドナー登録は可能ですが、骨髄採取はドナーと胎児への影響を配慮し、行わないことになっています。ほとんどの方は問題ないとはいえ、難産を経験された方には、1年以内の骨髄提供が健康上好ましくないと判断されることと、乳幼児のいるご家庭の方に入院のため2〜3日、長ければ5日間も小さいお子さまのそばから離れることは、実際上困難と思われるのが理由です。


Q121 実際に移植することになる確率は?

不明です。その人のHLA型がどれくらい珍しいかにもよりますし、たとえ万が一の確率で患者の型が適合しても、骨髄提供をその時点で断ればドナーになる確率はゼロになります。確率はドナーの運と意思次第で大きく変動します。
ちなみに、骨髄移植推進財団は「ドナー登録者の42.6人に1人が、実際に骨髄移植で自分の骨髄を提供しているというデータがある」と発表していますが、これは参考程度にしかなりません。
ちなみに、2005年1月時点の『ドナー登録者数』=202,457人。
同時点の『骨髄移植実施回数』=『実際に提供し骨髄移植をしたドナーの人数』=6,174人。
つまり、大まかな数値だと20万分の6千が、実際に骨髄提供することになる確率となります。より分かりやすい数値にすると約3%。100人に3人ということになります。しかし、ドナー登録者数は累計ではなく現在の速報値なので、これは完全なデータではありません。累計では25万人を超えているそうなので、実際にはもう少し確率が下がるでしょう。


Q122 家族(血族間)とのHLAの適合確率は?

HLAの型は遺伝します。もっとも適合の確率が高いのは兄弟姉妹で、この場合は25%。4人に1人の割合です。その他は、たとえ両親であっても適合の確率はあまり高くありません。血族間でドナーが見つかる確率は、大雑把な数字だと30%程度だと言われています。


Q123 他人(血が繋がらない人)とのHLAの適合の確率は?

民族や人種、HLA型の珍しさなどによって大きく変わってきます。たとえば日本人の場合、ほとんど単一民族国家に等しく、違う人種と血が交じり合うことが少なかったせいで、適合の確率は他の人種と比較して高めです。具体的な数値でいえば、数百人〜数万人に1人の確率と言われています。
数に開きがあるのは、HLAのタイプに色々な種類が存在するからです。普通の血液型でも「RHマイナス型」が珍しく、なかなかこの血液型の人が見つからないように、HLAの型にも希少でなかなかマッチする人が見つからないものがあります。反面、大変にありふれたタイプもあり、こうしたものは比較的簡単に見つかるようです。


Q124 ドナーに選ばれる確率はどのくらいでしょうか?

1992年から2005年3月までの実績によると、ドナー登録者累計約26万人に対し実際に提供した人は延べ6,341人となっています。つまり、ドナー登録者41.3人に1人(2.4%)が骨髄を提供していることになります。最終的に提供を受けた患者さんは6,339人ですが、患者さんとHLAが一致したドナー登録者は累計約7万7,000人(約29.6%)です。


Q125 HLA型が一致するのは非血縁者間では数百から数万人に一人とありますが、数百から数万と差が開くのはなぜですか?

一致する差の大きさは、HLA型の出現頻度の差です。HLAの型は数万から数十万種類ありますが、日本人の型として珍しい型だと一致する確率が低くなります。逆に比較的よくある型だと、一致する確率も高くなります。


Q126 骨髄提供の依頼があったら必ず提供しないといけないのですか?

提供の意思を確認した上で、コーディネートは開始されることになります。なぜなら、コーディネートにかかる費用は患者さんの自己負担となる上に、期待とともに心理的な負担が加わるため、提供意思がない方に検査をすることは避けるべきと考えられるからです。ただ、コーディネートの途中で気持ちが変わることもあるかもしれませんし、家族の反対があってうまく同意が得られないこともあります。その際は、辞退可能です。しかし、骨髄提供に関する最終同意がされたあとは、ドナーから提供辞退を申し出ることはできません。なぜならば、患者さん側では移植の準備が開始されているからです。さらには移植2週間前からは前処置が開始されるため、移植をしないと救命できない状況に陥ります。


Q127 骨髄提供を断ることはできますか?

ドナー登録や骨髄提供は、あくまでも善意の自由意思によるものです。登録後も、各段階ごとに提供意思の確認があり、その間であれば、いつでも提供を辞退することができます。ただし、最終同意後の撤回はできません。ドナーの最終同意書の署名をもって、患者さんは移植に備え、化学療法や放射線療法によって骨髄を空にし、血液をつくる機能を失います。この段階での撤回は患者さんにとって致命的になります。


Q128 ドナーが骨髄提供を拒否する権利は?

もちろんあります。患者とHLA型が合致したと連絡があってから、候補者は度々『提供の意思』を確認されることになります。どの場合も、提供の意思を取り下げ、移植を拒否することは可能です。
しかし、最終同意確認に「OK」を1度出してからの拒否は、患者にとっては致命的になります。彼らは移植のために大変な準備をし、移植を成功させないと後がないという状態まで自分を追い込みます。その段階で移植をやめた、と提供者に言われれば絶望的な思いをすることになるでしょう。提供者はそのことを理解した上で、慎重に自分の結論を出すべきでしょう。


Q129 骨髄提供を断ることはできますか?

断ることはできます
ドナー登録や骨髄提供は、あくまでも善意の自由意志ですので、ドナー登録後でも登録の取り消しや骨髄提供の辞退ができます。また、提供に向けてのコーディネート中も各段階で提供意思の確認が取られますので、そこに強制はありません。

しかし、最終同意後はできません
ドナーの最終同意書のサインをもって、患者さんは自分の骨髄を空にするために化学療法や放射線療法による「移植前処置」に入ります。この前処置により患者さんは血液を作る機能を失い、ここで提供を断ることは患者さんの生死に関わる事態を招きますので、最終同意後はドナーの健康状態に問題がない限り骨髄提供の辞退はできません。もちろん、事故や妊娠にも気を付けなければなりません。


Q130 最終同意を撤回することはできますか?

最終同意後、患者さんは移植の準備(前処置)のため、致死量を超える抗がん剤の投与と放射線照射を受けるので、造血機能を失います。この時点で骨髄移植を受けられなくなってしまうと患者さんの生命に直接関わってきますから、最終同意書に署名・捺印後の撤回はできません。そうならないためにも、よくお考えいただいたうえで同意をお願いします。また、必ずご家族の協力・同意を得るようにしてください。


Q131 再度、骨髄提供することはできますか?

1度、骨髄提供しますと、その後1年間はドナー登録は保留状態となります。(もちろんこの間にドナー登録を取り消すことも可能です)そして1年後に再度ご意思を確認し、ドナー登録を継続されますと再度の骨髄提供も可能です。(現在は2度の提供まで)


Q132 複数回ドナーになることは?

結論からいうと、日本では2回まで可能です。
提供して失われた分の骨髄液は短期間で回復し、完全に元通りになるものですので、原理的には提供を繰り返すことはできます。非常に稀なケースですが、以前骨髄を提供した経験を持つドナーが別の患者に改めて提供するということがありました。医学的には何の問題もありません。
ただし日本骨髄バンクでは1度骨髄提供すると、その日から365日間は再度提供ができないというシステムを採用しています。主に提供者の健康上・システム上の配慮からです。
1度目の骨髄提供を経験された方には、約3ヶ月の時間をおいて骨髄バンクより「登録を継続するか」「再度、提供する意思があるか」といったアンケートが郵送されてきます。
複数回の提供に関連する意志はまずこの時点で表明することができますが、いずれにしても――前述したように―提供回数の上限は生涯で2回までということになっています(骨髄バンクを介した他人同士の場合)。これは日本限定のローカルルールですが、最新の研究では3回以上の提供の安全性も保障されつつあり、海外にならって上限回数の変更についての動きも出てきているようです。


Q133 もう一度提供できますか?

一度提供すると一年間は、ドナー登録が保留状態となり、その後登録再開についでの意思確認が行われます。この時再開の意思表示を行うことにより、提供の可能性があります。


Q134 何度も骨髄提供することはできますか?

造血機能は通常、1カ月で元に戻りますので、医学的には何度でも提供は可能ですが、日本の骨髄バンクでは現在、2回までとしています。なお、全身麻酔等によるドナーの身体への負担を考慮して、骨髄提供後1年間はドナー登録を保留とさせていただきます。提供から1年以上経過し、ドナー経験者が登録の継続を希望された場合には、新たな患者さんとの検索が可能になります。


Q135 適合ドナーが見つかったら?

実際に、骨髄移植の話が動き出して準備と調整に入ることになるでしょう。具体的には何が行われるかというと、患者側は移植のために身体の調子を整えます。体力をつけたり、悪いガン細胞を殺す処理を受けたりして移植の成功率を上げる努力をします。一方、提供者候補(ドナー)の元には、コーディネーターという調整役の係員が向かい、骨髄移植に関連する情報を伝え、意思の確認をし、移植に向けた更に詳しい検査などを行うよう勧めます。
適合ドナーは検査を受け、本当に骨髄提供できる条件を備えていることが確認されると、最終確認をとられます。家族を交えた話し合いが行われ、本当に移植を手伝うかどうかを決定します。


Q136 適合ドナーが見つからなかった場合は?

骨髄移植をしたいが、骨髄を分けてくれる人が見つからない場合、患者は他に色々な治療方法を選択します。自分の骨髄に処理を施し、自分に移植するような治療方法もあります。臍帯血という、赤ちゃんのヘソの緒を使った移植なども考えられます。移植を諦め、薬や放射線のみを使った治療を続けることも考えられます。しかし多くの場合、骨髄移植が必要とされる患者は、ドナーが見つからないと助かりません。移植なしで生き延びる患者もいますが、数は限られています。


Q137 連絡があるまでの留意点はなんですか?

ドナー候補者の方へ連絡をしてみると、健康上の問題で結果的にコーディネートが終了になるケースが多くあります。特段の留意点はありませんが、健康を保持されることは提供の有無にかかわらずご自身のためになります。また住所変更や健康状態が変化したときは、登録先の骨髄データセンターへ連絡の上、変更手続きをお願いします。
    
中央骨髄データセンターのホームページ


Q138 患者と適合したとき、連絡はどのようにくる?

調査の結果、病気の患者と相性が合い、本当に骨髄を提供できる可能性が出てきた場合、骨髄移植推進財団はそのドナーに対して手紙を郵送します。
具体的には<骨髄ドナーコーディネートのお知らせ>、<問診票>および付属書類、<骨髄提供者となられる方へのご説明書>などの関係書類が入った大型の封筒が「速達」で届きます。
通常、問診票は4枚。必要事項に記入し、同封の封筒で原則1週間以内に返送する必要があります。封筒は速達用で、既に必要金額分の切手が張ってあり、返信先の記入もされているのでご安心ください。その後、担当地区事務局のコーディネーターから電話連絡が入り、移植に向けた本格的な調整が始まります。お住まいの地域によっては、速達による書面での連絡よりコーディネーターの電話連絡が先になることもあります。


Q139 ドナー候補者になると、最初の連絡はどんな方法で来るのですか?

患者さんとHLAが適合すると、財団から「骨髄ドナーコーディネートのお知らせ」「問診票」や「骨髄提供者となられる方へのご説明書」などの関係書類が入った大型の封筒をお送りします。
問診票は4枚あります。各項目にご記入のうえ、同封の財団あて封筒でご返送ください。コーディネートの進行に問題がないことが確認されると、担当地区事務局のコーディネーターが電話を差し上げ、骨髄提供についての詳しい説明と「確認検査」のため、財団が指定する施設にお越しいただく日程を調整させていただきます。登録してすぐに連絡がある方もいれば、10年以上経ってから連絡がある方もおられます。ドナー登録から候補者の一人として連絡があるまでの期間は、人によってさまざまですが、平均すればおよそ2年10カ月となっています。


Q140 先日、患者さんがみつかったという案内がきました。いまは事情があって提供できないので、申し訳なかったのですが辞退させていただきました。お断りしたものの、患者さんのことがどうしても気になります…。ほかに提供者がいらっしゃったのか、教えてもらうことはできませんか?(Kさん)

患者さんの状況をお知らせすることはできません。
現在では、8割以上の患者さんに複数のドナー候補者の方がみつかり、多くの場合、複数のドナーさんのコーディネートが同時に進められます。
ただし、おひとりの患者さんにドナーが何人いらっしゃるかは、ドナーコーディネート担当者には知らされません。したがいまして、ドナーさんに患者さんの状況をお知らせすることができません。

骨髄バンクは、『公平性・公共性・広域性』が基本理念です。
ドナーの方の自由意思を尊重するため、コーディネーターなど、ドナーコーディネート担当者にも患者さんの病状や他のドナーの進行状況は知らされません。すべての登録患者さんに等しくドナーを仲介しようとする部門が個々の患者さんの状況を把握してしまうと、間違えば担当者によって強制や誘導が行われる恐れがあります。その場合、ドナーの方に大きなご負担をおかけしたり、自由意思を確保できず公平性を保つことが困難になってしまう恐れがあるからです。
ご理解いただけますようお願いするとともに、あたたかいお気持ちに感謝申し上げます。


Q141 骨髄移植推進財団から「提供候補者に選ばれました」との封書通知が届きました。正直言って、まだ決心がついておらず、どうしていいのか戸惑っています。

登録してから適合する患者さんが見つかるまで時間が空くことが多いので、このようなことはあります。
あなただけがそう思っている、という訳ではありませんのでまずは一人で深く悩まずに、その正直な気持ちをコーディネーターの方にぶつけてみて下さい。

封書が届く前後に、コーディネーターから電話で連絡が入ります。夜遅くに帰宅をする方など、連絡がとれる機会が少ない方は留守電に何かしらメッセージを入れることもあります。
その場合には、ちょっと勇気が要るのかも知れませんができるだけ早いうちに折り返し電話をしてみて下さい。コーディネーターは、経験豊かな良き相談者ですので、移植のこと、家族のこと、持病のこと、日程の調整など一緒に悩み、考えてくれると思います。
※コーディネーターから無理に提供をお願いすることはありません。

他の人はどういう経緯で提供することになったのか気になる方も多いと思います。参考にしてみたい方は、提供までの過程を個人ごとに詳細に記したサイト骨髄バンクドナーの輪をご覧頂くことをお勧めします。

    
骨髄バンク ドナーの輪 ホームページ



Q142 登録しても、骨髄提供ができない場合があるそうですが?

ドナー候補者になると、健康状態が再確認されます。ドナー登録の時点で健康であっても、この段階で健康状態が適当でないと、骨髄提供をご遠慮していただくことになります。


Q143 痛みはどれくらいですか?

麻酔からさめた後、採取した場所(採取傷)が痛みます。痛みの程度は個人差がありますが、多くは鎮痛剤のみの投与で翌日には軽減します。痛みが1〜2週間続くことがあります。


Q144 骨髄提供に痛みは伴なうか?

個人差がありますが、大抵の場合は痛みを伴ないます。特に注射針を刺した腰の部分には、打撲を負ったような違和感が感じられるでしょう。少なくとも3〜4日は、骨盤のあたりがある程度痛むと考えて下さい。日本骨髄バンクの<提供後48時間アンケート>によると、「採取した場所が痛むか」という質問に対し、提供者の14%(619人)が「痛む」と答え、69%(2,642人)が「少し痛む」と答えています。
またこれは全米骨髄バンク(NMDP)の調査ですが、「移植の痛みは想像に比べてどうだったか」というアンケートに対し、ドナーの約20%が「想像より痛かった」と答え、約40%が「想像ほどではなかった」、約40%が「だいたい想像していた程度であった」と回答しています。


Q145 痛みはどのくらいあるの?

提供後の痛みに関しては、個々人によって様々です。 主な症状として、採取部位・点滴部位の痛み・排尿痛・のどの痛みなどが多いようです。採取部位の痛みは鈍痛が「退院後も少しある」、「全然感じなかった」など個人差があります。(例:女性の方は生理痛に似ていた、男性の方は排尿痛の方が痛かった)


Q146 痛いのですか?安全なのですか?

146−1.骨髄採取時の痛みについて:
全身麻酔をしているので、痛みを感じることはありません。

146−2.採取後の痛みについて:
採取後に採取部位の鈍痛や発熱などが生じる場合があります。
こちらについては個人差がありますので一言でお答えすることはできません。

※確認検査以降にも、詳しい説明がありますのでその際に担当の医師へ納得するまでどんどん質問してみることをお勧めします。


Q147 骨髄提供に危険性はありますか?

骨髄採取で健康が害されないとは言い切れませんが、通常はすみやかに回復しています。骨髄移植のための骨髄採取は、1950年から1992年までに、全世界で4万件以上 (国際骨髄移植登録調べ) で行われています。その中で、骨髄採取に伴い、イタリアと日本で1件ずつ麻酔事故と思われる死亡事例が報告されています。骨髄採取は全身麻酔下で行われますので、通常の手術と同様に麻酔に伴い、非常に低い確率とはいえ致命的な事故が起きることがあります。最近では、麻酔の管理にモニター機器が導入され安全性は大幅に改善されています。


Q148 発熱などがあると聞きましたが?

採取後、37〜38度程度の発熱や喉の痛み、吐き気、全身の倦怠感などが出ることがあります。通常1〜2日で軽快します。


Q149 針跡は残りますか?

体質によっては、皮膚に少し針の跡が残る人がいます。通常は3〜6カ月ほどで針跡は消えます。


Q150 全身麻酔や骨髄採取で後遺症などが残ることはないのでしょうか?

骨髄採取に伴う合併症として一般的なものは、採取部位の痛み、のどの痛み(麻酔時の気管内挿管チューブがあたるため)、軽度な発熱、排尿痛(膀胱内導尿チューブを入れるため注)、気分不快がありますが、いずれも軽度であり数日以内に消失します。骨髄バンクでドナーの骨髄採取に伴う合併症集計(2003年3月現在)としては、採取中の一時的な血圧低下、不整脈、軽度の血尿(導尿カテーテル挿入の刺激によるもの)、義歯の損傷・ぐらつき、採取針の破損が主なものです。後遺障害と認定されたものは、左手尺骨神経障害、一過性の片麻痺と一部軽度の知覚低下の残存、外側大腿皮神経単発性神経炎などがあり、合計6例(2003年8月現在)で後遺障害保険が適用されました。その他の合併症として、急性C型肝炎を発症した事例、骨髄採取後に後腹膜血腫ができた事例、採取後に長期に渡って腰痛が持続している事例、採取後に肺脂肪塞栓症が疑われた事例、採取後に左腸腰部位に血腫を認めた事例があります。
骨髄移植推進財団ではすべての情報を公開し、起こった事例の原因究明と予防対策をすすめています。
注)導尿用のチューブをいれない病院もあります。


Q151 採取後の健康に対する影響はどんなものでしょうか?

採取直後の症状は人によってさまざまですが、ドナーアンケートによれば採取翌日の軽微な症状は「38度以上の発熱」(14%)や「排尿時の痛み」(10%)などがあります。採取に伴う危険性は「ゼロ」ではありませんが、日本の骨髄バンクでは死亡事例は起きていません。骨髄採取にかかわる死亡例は過去に世界で4例あり、日本では血縁者間移植に1例あります。発熱や血圧低下など軽微な合併症は数%起きており、骨髄バンクにおいて後遺障害保険が適用されたのは、これまでに6例あります。詳しくは「提供者のアンケート結果」をご覧ください。


Q152 骨髄を提供する前に準備することは?

ドナーは完璧な健康チェックを移植の数週間前に受けます。これを受ける以外には、特別な準備は必要ありません。ただ、骨髄提供には1〜4日の入院が必要とされるケースが大半なので、社会人などはスケジュールをあける努力をする必要があるかもしれません。


Q153 最終同意面談以降の、生活上の留意点はなんですか?

最終同意のあとは、骨髄提供日に合わせて健康診断や自己血の採血などがあります。健診の結果、ドナーに健康上の問題があった場合は、骨髄採取が延期または中止になることがあります。また、患者さんの前処置は移植の1〜2週間前から始まります。健康保持に留意されることはもちろん、過度の運動はお控えいただいたり、事故などにも遭わぬように注意したりしていただければと思います。


Q154 移植の成功はいつ判明?

「生着」の最初の徴候は、移植が行われてから約2週間後に見られます。
この「生着」とは、新しい骨髄が患者の体内に根付き、血液細胞の生産をはじめたことを意味します。ある意味で、成功のサインです。それ以降、白血球は増えつづけ、更に血小板の生産も始まります。移植後4〜6週間で無菌室治療は終わり、一般病室に戻ります。患者の退院は100日が目処です。


Q155 提供した患者さんの経過を知りたいのてすが?

骨髄バンクでは基本的に患者さん・ドナーさん相互の情報は知らされないことになっています。(住んでいる地方、性別、年代程度は知らされる場合があります) 提供後一年以内、2回までの手紙の交換が認められていますが、これも自由意志によるもので、必ず届くもの、書かなければならないものではありません。同様に、ドナーの方の詳細な情報についても、患者さんやその家族にはお知らせしていません。


★ドナーについて

Q156 ドナー候補者って?

患者さんとの適合通知は、あなた一人ではなく何人かの方に同時に送付されていることが多<、まだあなたの提供が決定したわけではありません。ですからこの段階では、ドナー候補者とお呼びします。
ドナー候補者が提供に至る割合は約18%程度です。
※なお、ドナー登録者が提供に至る割合は2〜3%程度です。


Q157 ドナーとは?

病気の人に、自分の健康な身体の一部分を提供する人です。
(ただしこれは海外の一般的な定義で、日本ではドナーを「骨髄提供希望者」とし、実際の骨髄提供者とは分けて考えています)
腎臓移植のドナーと言えば、腎臓病の人に自分の腎臓の一部を提供する人物です。骨髄移植のドナーは、白血病やその他の血液の病気の患者に、自分の健康な骨髄液を分け与えます。
腎臓や肝臓、肺を提供する場合は一部分を切り取って渡すため、無くなった部分は元に戻りません。(肝臓は元の大きさまで再生することもあるそうです)
しかし骨髄は、血と同じように無くなってもすぐに生産されて回復するものです。したがって永久に失われるといったようなことにはならないのが特徴と言えるでしょう。

ドナーは誰でも良いというわけではなく、実際のドナーになるためには幾つかの資格があります。
1.提供に関して法的に責任のとれる年齢であること
2.慎重な診察・検査で、健康上に問題がないこと
この2つが、主な資格の条件です。


Q158 ドナーになることで費用はかかりますか?

骨髄提供のための検査や入院費といったものは一切かかりません。ただし、最初のドナー登録手続き時の会場までの交通費などはご負担いただくことになります。


Q159 ドナー登録してから、すでに10年以上が経ちますが、まだ提供したことはありません。移植を待っていらっしゃる患者さんがいるのであれば、こんなに長い時間、提供の機会がないということはないような気がします。私のように、何年も適合者とならないようなケースは珍しくないのでしょうか?(Y.Tさん)

珍しいことではありません。どうか気長にお待ちください。
登録してから10年経つ現在も、適合通知が来ないことはお気になさるところだと思います。昨年度実施された移植件数においては、24%以上の方が登録後10年を経過してから初めて提供に臨んでいらっしゃいます。いかに白血球の型が適合することがまれであるかおわかりになるのではないでしょうか。HLA型の組み合わせには数万通りあり、まったくの赤の他人同士では数百〜数万分の1の確率でしか一致しません。

一方、1992年から2004年11月までにドナー登録された方々は、累計25万4,000人余になりますが、患者さんとHLA型が適合した方は、何と1/3にあたる7万2,000人もおられ、そのうち実際に骨髄提供された方は6,034人にものぼります。つまり、ドナー登録者42人に1人の割合で提供しており、おおざっぱにいえば「40人に1人」ということになります。

世界一の骨髄バンクのアメリカでは、約400万人のドナー登録者で提供者は2万人ですので、その確率は「200人に1人」ということになります。日本での提供する確率は世界的に見るとまれにみる高い確率といえます。

その背景となっているのは「日本人のHLA型の均質性」です。HLA型からみると単一民族と言っても良いほど似ている型をもっている人が多いと言うことです。「人種のルツボ」と言われるアメリカは、白人、黒人、アラブ、東洋系、アメリカインディアン、ヒスパニックなど、世界各地から移民した民族がおりなす国であることから、日本とは比較にならないほどHLA型が多様化しており、それは骨髄移植に不可欠な「HLA適合率」を下げる結果となっているのです。

患者さんにとっては、最終的に提供を受けるドナーは1人ですが、コーディネート段階では複数のドナー候補者がいるのが通例です。頻度の高いHLA型を持つ患者さんのなかには数百、数千人と適合ドナーがみつかる場合もあります。しかし、珍しい型の患者さん(約1割を占めています)には、依然として適合するドナーさんを1人もみつけることができていません。また、1〜3人という少数の適合者しか見つからない患者さんも全体の2割近くになります。

こうした現状からも、ドナー登録者30万人を一日も早く実現しなければなりません。皆さまのご理解、ご協力をお願いいたします。


Q160 登録してから何年も経ちますが音沙汰が全くなく、漠然と不安です。何か気をつけることなどないのでしょうか。

適合する患者さんがいつ見つかるのかについては、見通しが立つものではありません。早い人であれば、登録後や二十歳の誕生日を迎えた数日後に連絡が来る場合もありますし、逆に登録してから何年も経過した後に見つかることもあります。いずれにしても、いつでも提供が出来るように整えておくことが患者さんにとってもドナー候補者さんにとっても望ましいことです。

そのためには、予めご家族からの同意を得ておくことに加えて、ご自身の健康状態の維持も大変重要です。そこで、職場や学校での定期健康診断に留意したり、献血で自分の血液の状態を把握しておくことをお勧めします。特に、肝機能やヘモグロビン量[13.1g(男)、12g(女)以上]については引っかかる人が多く、短期間で根本的に治すことが難しいものですが、どちらも食生活の改善などによってご自身の力で確実に治すことができるものです。そこで日頃から、年に数回以上献血をして血液検査を受け、健康管理を継続して下さるようお願いします。あなたの健康が患者さんの健康にもつながります。
※白血病など血液疾患の患者さんは輸血が必要不可欠です。


Q161 ドナー登録後に薬を飲み始めたのですが?

コーディネート開始時に、医師の処方による薬を服用されている場合は、その薬の名前を含めて、調整医師に必ず確認してください。 自己判断で、薬の服用をやめたりすることは、決してしないでください。主治医に指示を仰ぎ、服用が中止できるかどうか、確認の上で行ってください。基本的に薬の服用中は、コーディネートを進めることも提供も出来ませんが、服用が中止できる場合、提供が可能なことがあります。


Q162 登録後に服薬を始めましたが?

コーディネート開始時や、コーディネートが始まってからも医師処方の薬を服用されているようでしたら、注意が必要です。ドナー候補者の判断で服薬を中断することは、病気の悪化につながります。服薬中は治療中とみなされ、コーディネートを進めることはできません。服薬が中止できるようなら提供は可能ですが、詳細は地区事務局や医師にお尋ねください。


Q163 2年前からピルを服用しています。骨髄提供に影響はないでしょうか?適合が決まってからピルの服用をやめようと思っています。(K.Kさん)

骨髄提供の1カ月前に服用を停止することができれば、問題ありません。
全身麻酔下の骨髄採取に影響が出る恐れがありますので、ドナー候補者の方には、お薬の服用を提供時期の1カ月前からお止めいただくことをお願いしています。
ピルのような病気の治療を目的としない薬は、ドナー候補者自身の判断でお止めになることが可能ですから、問題はありません。

ただし、服用しているお薬が病気を治療する目的であるときは、注意が必要です。ドナー候補者のご判断で中断することは、ご本人の健康悪化につながるからです。
なお、服用停止の判断は、ドナーの方のかかりつけのお医者さんではなく、あくまで骨髄バンクの医師が判断することになります。服用の停止が難しいと判断されると、骨髄提供はご遠慮いただくことになってしまいます。ご理解ください。


Q164 ドナーは患者さんを選べますか?

骨髄バンク事業は、すべて公平に行いますので患者さんを選ぶことはできません。


Q165 ドナーと患者さんは会えますか?

相互のプライバシー保護のため、現時点では面会も相手の個人情報開示も認められていませんが、個人が特定されない範囲での手紙の交換は骨髄移植推進財団を介して2度まで認められています。


Q166 ドナーが患者さんと面会することはできますか?

骨髄バンク事業の公平な運営と、相互のプライバシー保護のため、面会は認められません。財団を通じて、個人が特定されない範囲であれば、手紙の交換は可能です。


Q167 ドナーと患者は面会できますか?

全くできません。少なくとも日本骨髄バンクは、提供者と患者を会わせないと決めているようです。日本では、基本的には、互いの情報は知りようがないと考えていた方が良いと思われます。
提供者と患者が接触すると、金銭的な要素をふくむ謝礼の話になったり―と、かつてなかった新しい問題が発生する恐れがあり、骨髄移植推進財団はそのことに大きな危惧を抱いているようです。

一方で世界に眼を向ければ、ドナーと患者の面会は決して珍しい事件ではなくなってきています。たとえばNMDP(アメリカ骨髄バンク)では、1989年にイべントを通して非血族者間骨髄移植の患者とドナーが出会いました。ブルック・ウォード(当時6歳・女性)と、ドナーであるダイアン・ウォルターズ(当時49歳・女性)の対面は、多くの人に感動をもたらしたそうです。このイベントの模様は日本でも衛星中継でTV放映されました。
またヨーロッパの大部分の骨髄バンク、またシンガポールや台湾、韓国、オーストラリアなどでも患者とドナーとの面会は認められる方向で進んでおり、さまざまな条件や制限がついてはいても基本的に日本の制度と比較して非常に進歩的です。


Q168 相手に手紙やプレゼントを送れるか?

日本では、骨髄採取後1年以内であれば2回まで手紙を出すことができます。しかし、手紙には個人を特定するような内容を書けません。これを確認するため、事前に第三者によるチェックが入る可能性も否定できないかと思われます。
これとは別に「千羽鶴などを贈りたい」といった申し出が多かったりするようですが、物品については財団側が取次ぎを拒否する姿勢をとっています。つまりプレゼントを贈り合うことは不可能です。


Q169 患者さんに手紙や千羽鶴などのプレゼントを送りたいと思いますが?

手紙は骨髄提供後1年以内に2回まで出すことができます。品物についてはたとえ千羽鶴などであってもお取り次ぎはしていません。


Q170 骨髄ドナーの登録状況は?

平成18年7月末現在で253,779人の骨髄ドナー登録がされていますが、患者さんの約2割の方には依然として白血球の型の一致した骨髄ドナー候補者が1人も見つかっていません。また、移植を受けた患者さんの状態を観察した研究により、遺伝子レベルでの一致を図った方がより患者さんに良いことが分かりました。そのためには、30万人の骨髄ドナー登録が必要といわれていますので、まだまだ不足しています。


Q171 ドナーの体重制限はありますか?

ドナーの候補者になられた段階で、男性は45kg未満、女性は40kg未満の方、標準体重より40%以上超過の方からの骨髄提供はできません。


★その他について

Q172 骨髄バンクにドナー登録していますが、以前からコーディネーターになってお役に立ちたいと思っています。随時の募集はされてないのですか?資格などが必要でしたら、教えてください。(nori1126さん)

募集は不定期です。特別な資格は必要ありません。
このたびは骨髄バンクのコーディネーターに関心をお寄せいただき、まことにありがとうございます。以下、かいつまんでご説明申し上げます。

■資格について
JMDPのドナーコーディネーターには、特別な応募条件・資格はありません。ただ、次の条件を満たす方を対象としています。
1)20〜65歳で、骨髄バンクの必要性を理解している健康な方
2)時間的にコーディネート業務に専念できる方
3)以下に該当しない方
・骨髄移植適応患者や家族
・特定の骨髄移植適応患者の支援団体(例:○○さんを救う会)に所属しているなど、日頃から特定の患者さんのために活動している方この条件を確認の上、コーディネート募集に際して書類選考を行います。選ばれますと集合研修、実務研修及び試験を経て、判定しコーディネーターとして委嘱されます。委嘱期間は1年間で、毎年実務状況を考慮して更新されます。
なお、コーディネーターの募集は毎年定期的には行っておりません。欠員が出たときやコーディネート件数の増加など必要に応じて地域別に募集しています。募集の際はホームページや骨髄バンクニュースなどでお知らせします。


Q173 骨髄提供以外で血液の病気の患者さんに協力できることは何がありますか?

年令制限などでドナー登録ができない方にも協力していただけることはいろいろあります。
患者さんは移植前後には、輸血とりわけ血小板輸血が頻回に必要になりますので、献血に協力していただくことも大事なサポートになります。また、骨髄バンクの運営は、患者さんの負担金が基本となってはいます。バンクも患者さんも経済に大変苦しい状況に陥っていますので、資金的な協力方法もあります。さらには、骨髄バンクを推進させるためのボランティア活動も各地で実践されていますので、参加されるのも一つです。


Q174 登録する意思はあるけれども。登録は年齢的に無理 ! 登録以外の協力は?

色々あります。
中には登録する意思はあるものの、家族の同意が得られず登録を断念する場合もあります。また、ドナー登録を迷われている方もおられます。自分がドナー登録出来なくても他の人に呼びかけることは出来ます。ドナー登録数の増加は何より患者さんへの力になります。一人でも多くの方に、骨髄移植の重要性を訴えてください。骨髄バンクの運営にご協力ください。


Q175 私も白血病になるかもしれないのでしょうか?

可能性はだれにもあります。白血病は10万人当たり年間5−6人の頻度で発症するとされています。子供から高齢者までどの年令にもおこりますし、原因不明で予防することはできません。


Q176 日本骨髄バンクの公式ホームページはないのですか?

1998年3月20日に、日本骨髄バンクの公式ホームページが立ち上がりました。日本骨髄バンクのホームページでは、インターネット画面上でドナー登録の申し込みが出来るようになりました。公式ホームページならではの豊富なデータ量とともに、骨髄バンクについて様々な情報を提供しています。
    日本骨髄バンク公式ホームページ


※参考(下記から引用)
 ・ドナーズネット「骨髄バンクQ&A」

 ・骨髄移植推進財団「骨髄バンク ドナー登録 Q&A」

 ・骨髄移植推進財団「骨髄提供について Q&A」

 ・福島県骨髄バンク推進連絡協議会のドナー登録について「よくある質問」

 ・宮城骨髄バンク登録推進協議会「本音Q&A」

 ・静岡県健康福祉部 疾病対策室「骨髄バンク(骨髄移植)Q&A」

 ・なら骨髄バンクの会「骨髄バンクって?」

 ・ぼくはチルドレン・おまけ「Q&A骨髄移植とは?」

 ・北海道骨髄バンク推進協会「ドナー登録Q&A」

 ・勇気の会(三重県骨髄バンク推進連絡会議)「バンクQ&A」

 ・岡山・骨髄バンクを支援する会「骨髄提供体験談」

 ・特定非営利活動法人 全国骨髄バンク推進連絡協議会

冊子「ドナーになるってどんなこと」



 ●なお、医療専門的なものや更に詳しくは「骨髄移植推進財団」のフリーダイヤルへお問い合わせいただくか、ホームページをご覧ください。
骨髄移植推進財団フリーダイアル 0120−445−445
(月曜〜金曜、9:00−17:30)

提供経験者からの生の声を聞いてみるのも一つの方法です。
非営利組織(NPO)全国骨髄バンク推進連絡協議会が主催するドナーサポートダイヤルも、
時間があれば利用してみて下さい。0120-892-106
(受付時間:平日10〜17時)

参考
NMDPオリエンテーション・ガイド:全米血液資源教育プログラム,
全米骨髄ドナープログラム
Bone Marrow Transplants "a Book of Basics For Patients":BMT Newsletter (c)
1992:Susan.L.Schwartz
骨髄バンク 「一人のために」から「みんなのために」へ,(C)1994 中公新書1219:十字猛夫
骨髄バンク入門 -Give Marrow Create New Life-,(C)1990:佐治博夫,十字猛夫,高橋孝喜

※このテキストは、一部日本骨髄バンクではなくNMDP(全米骨髄バンク)の資料を元に作成しています。よって、日本の事情とは若干の相違があり得ます。予めご了承下さい。
また、専門医の手による編集ではありませんので、誤解や誤った記述が存在するかもしれません。

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     高知県骨髄バンク推進協議会まで、でお知らせ下さい。
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